2017年10月1日

栃木、福島、新潟の険・酷道ドライブ

 北栃木から南会津、中越へとつないでいく三県の険・酷道を訪れた。南会津へと抜ける栃木・福島県道350の栃木側がハードダートだった。紅葉の季節にはまだ間があるものの、その先駆けとなるススキの花が咲き、秋の到来を告げていた。走行日2017年9月24日、使用車輌Lutecia。

Lutecia

 最初に向かったのは大笹牧場である。東北道宇都宮・日光宇都宮道路を今市ICで降り、栃木県道245(栗山今市線)で同牧場に。245は深い樹林の中を縫っているが、見応えのあるスギの高木が林立する区間があったり、びっしりと緑の苔むしたコンクリ法の区間があったりして、周囲の視界は開けないものの、それなりに趣がある。牧場までは245の西にある快適な霧降高原道を使うのが常識的な観光ドライブルートである。これに対し、ヒョロヒョロとした狭幅員の山道が245で、小百のバス停を境にそれまでのゆうゆう2車線幅から1~1・5車線幅に狭まる。視界が開けてくると、牧場まではもう少しで、245は第二駐車場脇にでてくる。日曜の朝、8時台とあって、メイン駐車場はガラガラだが、10台前後のバイクのツーリンググループが集っていた。

Lutecia

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牧場からは県道169(栗山日光線),23(川俣温泉川治線)とたどり249(黒部西川線)で土呂部に向かう。169はたっぷり2車線の豪快ダウンヒルで、坂が急なだけに速度が乗りやすい。右コーナーに比べ、左コーナーのほうが回り込んでいてきつい。249も最初は幅員も広いが、山深くなるにつれ、1・3車線程度と道は途端に狭くなる。おまけに小さいコーナーが組み合わさった屈曲路である。249が直角的に右に折れていくところに分岐路がある。メインは湯西川温泉に向かう249だが、まっすぐのルートが南会津町につながる350(栗山舘岩線)である。350は別名田代山林道ともいわれ、こちらを走る。

Lutecia

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 350は5分も走らないうちに、ダート路面に変わる。はっきりいって路面の性状は悪い。ゴツゴツした岩石が路面に顔を出しているうえに、前日、降雨だったはずで、ボコボコに掘れた穴は水たまりと化していた。樹林の中を右に、左に回りながら登っていくのだが、木々のためにすだれ状に遮光され、路面がそれを映してよく見えないという有様。ほとんど2nd使いで、深そうな水たまりを越える際は速度を殺し、1stで抜けていかざるを得ない。しかし、1・5車線程度はあるので、走る路面を選べるのが救いといえば救いである。最低地上高は15㌢ないが、サスペンションの硬いLuteciaはこうしてゆっくり走行すれば、ボディの底を打つことはないものの、フロンドサスのストロークが大きく、柔らかいクルマであれば、確実に何度も底をこすりそうだ。ところどころ思い出したように鋪装路が現れるが、数秒も走ればまたダート。気休めの鋪装に過ぎない。350は全長24㌔あるようで、そのうちの11㌔強はほぼ荒れたダートである。名のない峠が福島と栃木との県境である。広場のようになっている峠は片側だけ視界が開け、濃い緑に彩られた山波がみえる。峠の標高は1600㍍を弱ある。8時55分、気温12度。

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 峠からは下りで福島県に入る。むろんダートだが、栃木側とはうって変わって、砂利がよく敷き詰められたフラット路面である。水たまりもほとんどない。350は平坦ダートとバイク系ブログで記されているが、これは福島側を指しているようだ。福島に入ってからはほとんど3ndで走行可能だった。田代山(1971㍍)、帝釈山(2070㍍)の登山口には10台近いクルマが駐車。登山口を目指しているのだろうクルマが数台登ってきた。ワイドボディのハイエースと出会い、長いバックの末、なんとかすれ違った。

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 350の開通は1976年で、福島側は舘岩村道であった。県道昇格は2001年と比較的新しい。350をどんどん下っていく。水引集落の手前に基幹林道諸沢川衣線が分岐する。基幹林道というくらいだから350の西を通る飯豊檜枝岐大規模林道に抜けられるかもしれないと考え、入り込んだ。350よりも幅員が広く、立派な鋪装林道であったが、路面には小枝が散乱し、道路中央から雑草が生えているなど日頃の交通量の少なさがうかがえた。しかし、5キロも走っただろうか、突然、道が消失。通行止め標識もなく、いきなり谷と覚しき藪に突き当たって終わりである。未成道であった。仕方なくまた戻り、350沿道沿いのしらかば公園で遅い朝食とした。10時22分、気温は22度まで上昇。公園駐車場の10本程度の桜の葉はぼやけた赤色に色づいていたものの、きれいな紅葉ではない。

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 水引集落から350は鋪装路面となり、国道352にぶつかって終わるが、湯の花から唐沢峠を経て大規模林道に抜ける鋪装道(唐沢林道)を選択した。大規模林道(尾瀬小繁ライン)は交通量僅少の曲率の大きなコーナーとストレートからなる快走ワインディングロードである。道路脇に出穂したススキの波が続き、花が咲いてまもないらしく銅色に輝いていた。途中、前日夜間か、今日朝方に落下したのであろうドラム缶半分ほどの大きな岩が道をふさいでいたが、反対車線にでることでなんなく通過。同大規模林道を10分ほども走って檜枝岐村で国道352に合流。ここからは352を走り続け奥只見ダムを経由して関越道小出ICから帰京するルートとした。

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 352は奥只見湖に沿うあたりはクネクネした道となり、ひたすら右に左にステアリングを切り、道をトレースするドライビングが続く。この道、沢の水を路面を横断させて谷に流し込む、名物の洗い越しがたびたび登場する。枯れ洗い越しもあったが、多くは路面のに水が流れ、なかには勢いの強い水流のところも。樹海ラインとも呼ばれる区間だが、紅葉にはまだ早く、ススキが咲いている段階であった。対向車、順行車ともそこそこの頻度で出会う。路肩に雑草が生い茂り道幅が狭くみえるだけに自らのペースでは走れない。

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樹海ライン名物、洗い越し
銀山平からはトンネルで奥只見ダムまで抜けるシルバーラインに。ナトリウム灯が点灯されているものの、車のライトをつけてもなお薄暗いトンネル道である。カーブ方向を示す赤色灯の矢印型コーションマークがついている。路面は結構ラフで、クルマは絶え間なく上下に揺すられる。銀山平からだと、荒沢、仕入沢の両トンネル計6キロばかりでダムに到着。12時43分、気温23度。


 抜けるような青空の下、駐車場は半分くらい埋まっていた。ダム湖は眼下だが、一様に「秘境奥只見」と書かれた標識をバックに記念撮影をするひとが・・・駐車場からはダム堰堤は斜め前にみえる。ケーブルカーを利用して堤頂に行くことができる、以前、訪ねているのでパス。再びトンネルに戻り銀山平でクネクネ352に復帰する。良景観の枝折峠(1065㍍)では路肩駐車するクルマが多く、1車線分しか道幅が残されていない。

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 峠からは下りで、赤が朱色に退色し、天板には木や雑草が生えた古色蒼然としたスノーシェッドがある。峠下りはリズム感のある走りやすいワインディングである。鹿の又バス停から先は幅員が広がり、下界に降りてきた雰囲気とともに、交通量も増えてきた。小出IC着、14時23分、気温28度。走行終了。

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■全行程(GPS):約589km/最高高度(GPS):約1,587m
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