2015年2月17日

Wi-Fi Calling

「Wi-Fi Calling」、読んで字のごとくWi-Fiを使い契約したキャリアの通話とSMSが使えるサービスです。


 Wi-Fiを使う通話と言えば、お馴染みの「LINE電話」があるじゃないかとおっしゃる貴兄。「Wi-Fi Calling」は電話をかけるだけぢゃなく、SIMに登録された電話番号で着信できるところが違う。Wi-Fiに接続できれば圏外でも普通に発着信でき、SMSも送受信できる。携帯電話の通話エリアをWi-Fiで広げるようなもんだね。

 iOS 8リリース時、新しい機能のひとつとして紹介されましたが、ほかの機能に目が奪われてた。ところが最近チョッと気になり、今更ですが調べてみました。


 「Wi-Fi Calling」、最初にサービスインしたのは、アメリカのT-MobileとSprint。それには深いワケがあった。彼らはVerizonやAT&Tに比べ通話エリアが狭く、郊外の電波も頼りなかった。言わば出始めのSoftBankと一緒、弱いキャリアはプラチナバンドを割り当てられずビルや屋内では電波が届きにくく新規ユーザー獲得の妨げとなっていた。それを解消する技術として開発されたのが「Wi-Fi Calling」です。

 「Wi-Fi Calling」の大きな売りは海外からの高い国際ローミング料金を払わず国内料金プランで通話やSMSが使えること。なんだか夢みたいなサービスですよね。そのうえ、キャリアにとっても限られた帯域をWi-Fiへオフロードできるメリットもあります。

 国内大手キャリアの帯域、3G時代から切迫続き、特にランチタイムやアフターファイブの都心部はのっぴきならない状況が続いてる模様。通話とSMSを公衆無線LANや自前の無線LANにオフロードできれば価値あるサービスぢゃないかと思うんだけどなぁ…。


 「Wi-Fi Calling」に対応するのは「iOS 8」の載ったiPhone6/6 Plus/5s/5c。Androidでは、専用アプリをインストールするようです。「iOS 8」に「Wi-Fi Calling」機能を追加したのは、お膝元、アメリカのキャリア事情を優先した結果なんでしょうね。

 「Wi-Fi Calling」、Wi-Fi経由でキャリアのゲートウェイに接続し、SIM認証後システムへ繫がります。システム接続後は通常の携帯電話とまったく変わらない。IP電話などでは難しい警察や消防への緊急発信も問題なし。当然ですが、「Wi-Fi Calling」の電話番号はSIMに書き込まれた情報が使われるためSIMを挿入していないと利用できません。


 おもしろいのは、機内モードにしてWi-Fiと「Wi-Fi Calling」を使えるように設定しても発着信できないらしい。機能的には可能だと思うけど、普通の携帯電話として振る舞うよう配慮してるんだと思う。

 ゲートウエイやSIM認証などシステム構築してしまえば、技術的には世界中どこにいても「Wi-Fi Calling」が使えます。この機能(付加価値)をどう料理するかはキャリアのさじ加減ひとつと言うのがヤらしいよね。

 なんと言っても便利そうなのが海外渡航時、Wi-Fi接続できる環境なら国内と同じように通話やSMSが使え良いことずくめだけど、その料金プラン決定権はキャリアにある。ちなみにT-Mobileは付加料金不要。「Wi-Fi Calling」海外からの通話でも国内プラン料金が適用されるそうです。ある意味、上位キャリアを追う捨て身のサービスみたいなモノだね。日本のキャリアなら「かけ放題」が当たり前になりつつある。付加料金を設定しなけりゃ世界中から「国内かけ放題」ってことになるよね(^^)

 それに大災害時など、基地局がダメージを受け使えなくても有線とWi-Fiを組み合わせれば簡単に通話サービスを復旧確保できる。危機管理の手法としても有効ぢゃないのかな。

 さて、海外事情はわかりました。
 肝心の国内キャリアはどうなっているんだろう?、当然というか残念というか、各社とも「対応は未定」となっています。こんなときこそ頼りたくなるのがSoftBankですねぇ…。Sprintを手中にし「アメリカ放題」で世間をアッと言わせた孫さん、ここは一発、「Wi-Fi Calling」でもう一度世間を騒がしてくださいな。