中央道八王子ICからローカル感のある都・埼玉県道を使うと、ちょうど正丸トンネルを抜けた交差点で299に入る。志賀坂峠(標高780㍍)直下の小鹿野町坂本がくねくねとした幅員も狭い山道である。道路周囲の木々の葉は新緑から濃い緑に変わり、夏の到来を教えている。
ここで素晴らしく速いスピードで同峠頂点目指して駆け上がっていくホワイトのオープンBeat(ホンダ)に出会った。Beatはちょっとした路面の突起でもタイヤが細かく上下動を繰り返しているものの、ダンピングが効いていてすぐに収束する。足回りを固めているのだ。そのため、コーナリングの速度はひじょうに速く、まるでミズスマシのように軽快なフットワークで次々とコーナーをクリアしていく。ドライバーの腕は確かである。Beatはアウトインアウトのセオリーに従っているが、対向車に出くわす可能性がないとはいえないブランド右コーナーでも大胆にインについて抜けていく。
また、マフラーを変えており、ビーン、ビーンと甲高い3気筒特有のサウンドを奏でる。なにしろ最高出力を8500という超高回転で発生するバイク並みエンジンを背負っているだけにビートが弾けるごとく快音が樹間にこだます。
このBeatに先導してもらうかたちで追走するが、まったくのノーマル仕様のうえ、タイヤが3分山程度しかないPOLOはきついコーナーではロールも大きく、スキール音も甚だしい。Beatに追いつくのは至難の業である。しかし、Beatは小排気量の悲しさで登り直線では明らかに加速に限界がある。コーナーで離されてもPoloはなんとかここでビートに追いつく。
トンネルで同峠を抜けると、下りになるのだが、トンネルまであとわずかのところで、Beatに道を譲られ、Poloが先導役に。しかし、下りではPOLOはもういけない。下りでは登りほどパワー差がでないからで直線で離せず、むしろコーナリングで稼げないPoloはBeatに追い上げられ、tail to noseの状態で299と462の交点まできた。
Beatはこの交差点で奥多野方面に向かう462に右折、こちらは引き続き299を往くので左折となる。ワインディングロードを楽しませてくれた「俊足Beat」とはここでお別れだ。
299十石峠(1351㍍)は、南牧村を経由して下仁田に向かう群馬県道45との分岐点先から同峠下の矢引沢林道(迂回路)終点までの間の防災工事が終了し、やっと通行できるようになった。たぶん2年半ぶりの通行止め解除である。
といっても十石峠まで登りは酷道299の名に恥じず、ほぼ1車線といっていい狭路が続く。道端の雑草が繁っていることもあって、より幅員は狭くみえる。もともと同峠手前の集落、黒川から峠を越える林道として道路がつくられたとされ、これを舗装して国道に昇格させた林道由来路である。
この峠ではグレーメタリックのMazdaspeedAxelaと連なって峠までを走った。アクセラは小鹿野町あたりの299で前車だったが、道を譲ってくれて、ひとり志賀坂峠を越えてきたものの、462、299交点で行く先を確認するためにPoloを停車させていた間に、再び先行車となったのだった。Axelaは対向車に備えスモールランプを点灯させるなど慎重かつ適度なスピードで十石峠までを登り詰めていく。Poloはそれに合わせて同峠の展望台までおつきあいした。
299は佐久で国道141と供用し、清水町から単独299となって麦草峠(2127㍍)まで延々と登っていく。小海町大石とNHK外国放送受信所の間で先行する電柱を立てるための土中掘削機搭載大型トラックに道をふさがれた。
ノロノロ運転。そこでたまたま駒出池に向かう左折路にさしかかったのを機に、同池方面に進路変更。同道は八千穂レイク先でまた299に合流するので、遅いトラックを回避できる。この道は佐久穂町の町道らしいが、幅員が広く、アップダウンもある屈曲路で、なによりガラ空きなのがいい。
展望のきかない麦草峠はちらっと標識をみるだけで素通り。乙女台別荘地周辺から右折し、長野県道192に抜け、ビーナスライン(同40)に入る。大門峠南下にある白樺湖岸の駐車場はクルマであふれている。7月に入って関東地方も本格的な梅雨となり、ずっと天候に恵まれなかった。しかし、11日(土)は久方ぶりの晴れ間。格好のドライブ日和となり、夏の八ヶ岳方面にひとびとがどっと繰り出したようだ。
大門峠から先のビーナスライン、車山高原、それに続く霧ヶ峰はこの季節、好天であれば、青空と草原の緑とが映えるコントラストのなかを往く。かつて有料道であっただけに道幅も十分で走りやすい山岳路である。黄色い花を付けるニッコウキスゲを期待していたのだが、ビーナスラインと長野県道194が交わる交差点までの間ではほとんど見ることができず、時期が少し早かったのかもしれない。
それにしても同スカイライン沿いの駐車場はどこも満車に近い状況であった。この様子では夕方の中央道は大きな渋滞に巻き込まれる恐れがあると判断し、午前11時前ながら諏訪ICにでて帰路につくことにした。
池のくるみなる湿地帯を臨みながら諏訪に下っていく道路から同インターに向かう。この道では行き交うクルマのナンバーは地元車が多く、他府県ナンバーはほとんど見受けない。
なかなかの急坂でハイギアードのPoloではエンジンブレーキだけでは減速しきれず、フットブレーキも併用して駆け下りた。この道は諏訪IC手前2㌔で国道20号にぶつかる。ここでドライブは完了。帰路の中央道では外気温が34度に上昇し、今年初めてエアコンを使用した。
■全行程(GPS):約470km/最高高度(GPS):約2,128m/燃費15.5km
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