2015年11月5日

紅葉に染まる八ヶ岳、奥秩父峠巡り

 秋の一日、麦草馬越ぶどうなど八ヶ岳、奥秩父の1000㍍級の峠を疾駆してきた。晩秋とあって標高の高い麦草では紅葉は終わっていたものの、それ以外の峠では十分に堪能できた。走行日10月31日。使用車両Lutecia。

Lutecia

 今回の走行ルートとしては終盤になるが、最初に金山志賀坂林道を紹介しておく。紅葉と書いてモミジと読むが、文字通り紅に染まった紅葉が多くみられる林道だからである。長野県佐久穂町方面から埼玉県小鹿野町方面に向けて国道299を走ってくると、両県の県境にある志賀坂峠(標高780㍍)のトンネルを抜けた直後に右に下る道がある。

Lutecia

 これが同林道への入り口で、その旨表示した案内板も掲出されている。同林道は中津川林道に向かう埼玉県道210に抜けられ、全長約14㌔で、対向車とすれ違えるだけの幅員は確保されている。同林道の入り口から先行きの山々の一部が黄や赤の紅葉で色づいているのをみることができるだろう。同林道は入り口からいったん下っているが、210との中間点にあたりそうな八丁峠(1240㍍)まで実際には登っている。日当たりのよい場所に過去に植栽されたであろうモミジは燃えるような真紅の葉で満開であった。森が一部皆伐され、青い空が大きくみえる場所ではガードレールに沿ったモミジが刈られずにしっかり残されている。逆に日差しの弱い場所のモミジは緑の葉を繁茂させており、これが紅に変わるのか、黄色で落葉するのか、わからないが、今しばらく紅葉を楽しめそうであった。

 走行当日は11時過ぎだったが、乗用車、ミニバン、リッターバイク、自転車と多くの対向車に遭遇した。紅葉を楽しめる場所として、知られるようになっているのかもしれない。ちなみに一昨年もこの林道には14時過ぎにきているのだが、対向車にはあわず、自転車を追い抜いた程度だった。この林道には駐車場が八丁峠のトンネル前の両神山登山口にあるのみ。したがって、対向車とのすれ違いができるとはいっても決して広い道幅ではないので、ゆっくり走りつつ紅葉を眺めるというのが基本だろう。小倉沢まで降りてくると、雑草が生い茂るなか屋根がくの字に折れ曲がり、倒壊進行中と見受けられるなどのニッチツ鉱山従業員宿舎群跡を臨みながら走る。

Lutecia

Lutecia

Lutecia

 不気味な雰囲気にこのあたりは満ちている。同鉱山は操業しているが、この日は休業日だったようだ。同鉱山専用といって差し支えない年季の入った木造の秩父鉱山簡易郵便局は営業していなかったが、年賀葉書売り出しのノボリが風に揺れていた。

 さて今回の走行はまず中央道小淵沢IC降車。長野県道11484八ヶ岳エコーラインと伝い、国道299の麦草峠(標高2127㍍)を目指した。Am3時40分東京を出発したが、八王子で気温10度(首都高16度)、大月で8度に下がり、11のコンビニ駐車場では4度(6時10分)に。

Lutecia

 484は観光道路らしく広幅員でストレート部が多い、快適県道である。道路周囲のカラマツはすっかり黄色に染まり、道両肩にはそれが赤茶色に堆積しベルトのように延々続いていた。0度まで気温低下した富士見高原にある大手家電情報機器量販店の駐車場には黄色に変わったイチョウや赤に紅葉したモミジを目にした。色づいたイチョウ葉は微風にあおられ散りだしており、根元にはうず高く積もっている。昨年も同時期にここを訪れているのだが、今年は10月に好天に恵まれたために紅葉時期が少し早まっているようだ。

Lutecia

Lutecia

Lutecia

Lutecia

 エコーラインから同県道191で県道沿いの御射鹿池(みしゃがいけ)に寄り、299に出ることにした。山中の小さな同池だが、池対岸の周囲を取り巻く木立が池面にくっきり映り込む景観がかっこうの被写体になるとして、カメラ愛好家の間で高名である。2010年には農水省のため池100選に選出された。当日も10人前後がレンズを向けていた。対岸の樹木は紅葉していたものの、上部はすでに落葉してしまっていて坊主状態だった。


 191をこまくさ平別荘地内を抜ける閉口するほどガタガタに荒れたくねくね鋪装細道を経て299に入る。麦草峠までは登坂路。道幅がコーナーも含めて広く、その気になればハイスピードのワインディングロードとなる道で、Luteciaでは3速で軽快にどんどん駆け上がっていった。交通量はひじょうに少ない。カラマツは完全落葉していたが、葉の落ちきった枯れ枝に前夜から今未明にかけて霜でも降りたのか陽を浴びてキラキラ光って見えた。標高が高くなるにつれ、曇り空となる。シラカバも現れるがすべて葉は散ってしまい冬枯れの枝が空に突き出し、寒々とした光景。八ヶ岳に冬が訪れるのが間もないことを告げている。青看に記された麦草峠到着、気温マイナス1度(7時27分)とこの日の最低を記録。

Lutecia

Lutecia

Lutecia

 峠からは下りとなり、480との分岐点レストランふるさとはまだ営業前。ここからは松原湖に至る480を選択するが、稲子湯(いなごゆ)温泉に向かう狭い道を通り、同湖少し手前で480に復帰できるルートを選んだ。山中の道だが、路面フラットで走りやすいワインディングロードである。八ヶ岳林道との分かれ道で八ヶ岳兼用林道との標柱をみつけ、通ってきたのが林道であることを知った。日本最高所温泉、本沢温泉はこの八ヶ岳林道を行けばよいのだが、私達はそこには向かわず、紅葉を眺めながら道なり下っていく。青々とした大玉のキャベツが実った畑では農家が収穫作業をしていた。キャベツ畑の農道らしき道を経て松原湖高原スケートセンター(小海町)までくれば、もう480は目の前である。松原湖ではスワンを模した遊覧ボートがブルーシートに覆われ、どうやら今シーズンの営業は終了したようである。

Lutecia

Lutecia

Lutecia

Lutecia

 480から国道141を清里方面に走り、途中で68に入り、馬越峠(1620㍍)を越えるために川上村に向かう。68はなかなかのワインディングロード。大蔵峠(1200㍍)はタイトコーナーをクリアして越えていくが、道を覆い隠すように紅葉した林間に日差しが差し込むとよりいっそう紅葉が映える。川上村のスーパー、ナナーズに8時57分時到着。9時のオープン時間となり、イートインでコーヒー(100円)タイムおよび休憩。ナナーズ先から県道2に入路し、馬越峠に向かう。大深山遺跡への分岐路をすぎると、幅員は一挙に狭まり、右に左にとステアリングを切るタイトコーナーの連続する紅葉ワインディングロードとかす。ここは2速で峠まで登り詰めていく。

Lutecia

Lutecia

Lutecia

 2から今度はぶどう峠(1510㍍)を通る124に入るのだが、祝平でショートカットし、124の宮の平にでられる大鰭(おおひれ)林道を使った。林道となっているが、完全2車線の平坦鋪装路で、大規模林道にも似た立派な道路である。距離は約3㌔程度で短く、途中に林道名を冠したトンネルが設けられている。

Lutecia

 124はぶどう峠が近づいてくると、だんだんに幅員が狭まり、ワインディングロードに衣替えする。しかし、十国峠を通過する299に比べると道幅もあり、ずっと走りやすい。2速で峠まで登っていくが、直線とコーナーとの距離バランスがよく、小気味よいテンポでステアリングを操作し、走り抜けた。交通量はないに等しい。峠からの下りでカラマツの色づいた紅葉が日差しに映え、見頃であった。

 124から299に接続し、冒頭に記した金山志賀坂林道を経て、埼玉県道120、国道140へと乗り継いでいくのだが、210は奥秩父もみじ湖に架かる中津川大橋で国道140にぶつかる。しかし、同大橋よりも手前に同湖対岸に渡れる塩沢もみじ橋がある。アナログの道路地図にはたぶん描かれていないはずだが、カーナビやグーグルなどのデジタルマップではちゃんと表示される。

Lutecia

 この橋を渡り湖南岸の一周道を通行してみた。同湖は2008年に完工した滝沢ダム建設によって、できた人造ダム湖である。完成から7年しか経過していないために、湖岸道はアスファルトがまだ黒々として新しさを感じる。道幅はギリギリ2車線といった案配。左手に湖面を見ながら走るスラローム路である。

Lutecia

Lutecia

 対向車は一台のみで、通行量はひじょうに少ない。滝沢ダム管理事務所ではダムカードを配布していることを付け加えておこう。同カードへのリクエストが多いのだろう、同事務所入り口前にどっさり置いてある。


 同湖端で湖岸道から140に回り込み、同ダムの名物であるループ橋を通り、今回の終着点、中央道勝沼ICを目指した。140には一般道としては国内最長とされる雁坂トンネル(6625㍍)があり、11月末日まで無料開放されている。期限内にトンネルを抜ければ通行量730円を節約できる。トンネルを出れば広瀬湖だが、西沢渓谷の紅葉見物客で駐車場は満車状態で、ここは即刻パス。甲州市に入り山梨県道213を経てぶどう畑の広がる塩山フルーツラインに13時14分に入り、そのまま勝沼ICに行き着く。今回の走行は実質これで無事終了した。14時前には中央道談合坂を通過、渋滞にあわずに東京に帰着した。

Lutecia

Lutecia

Lutecia

Lutecia

■全行程(GPS):約512km/最高高度(GPS):約2,134m
■フォトギャラリーはこちらです。