2016年1月3日

足尾山域の険道を巡る

 足尾山系の険道巡りにでかけた。県道、林道、旧国道に色分けできるが、いずれも一般ツーリストはまず利用しないルートばかりを選んだので、交通量は希少で走り放題の趣であった。走行日12月26日。使用車両Lutecia。

LuteciaRS

 走行ルートとしては終盤になるが、足尾と日光を結ぶ国道122の旧道になる細尾峠(標高1197㍍)を紹介する。今では峠を日足トンネル(約3㌔)で抜けてしまうので、わざわざ峠を越えるのは峠愛好家やサイクリストぐらいしかいないだろう。足尾から122を走っていくと、同トンネル前で右手に旧道への入り口がある。「長い長い峠道」という、たぶんハイキング用の案内板が立ち、一般車通行止め表示板を備えているが、ゲートはオープンしている。

LuteciaRS

 積極的に通行することを決して薦めないが、それでも行きたい人はどうぞ・・ということらしい。旧道とはいえ国道だったために幅員は2車線分あるものの、急坂を登り、急坂で下るというトンネル(1978年完工)を建設せざるをえない意義がわかる、酷道である。黄色背景に白地でCURVEとNOが打たれた四角の旧型標識を初めて見た。



 「CURVE11」からの登りは勾配14%の標識。これほど強い傾斜の車道はそうそうあるものではない。道路の最大勾配基準は普通道路で12%(設計速度時速20㌔)である。この時速は林道の最高速である。時速50㌔の設計速度なら勾配9%である。とにかくヘアピン、ヘアピンのラッシュ状態。通ってきた道を仰ぎ見ると、ガードレールが3段位垂直になっているのを見ることができる。とくに峠からの下りはヘアピン連続で高度を下げていくために、まさに落ちていく感じである。路面がまた凄い。落葉がどっさりと散らばり、小枝も散乱。枝を避けるために右に左にステアリングを切る。一本だけだが、かつて国道だったことを物語るおにぎりマークがすっかり退色しながらも残されているのを目した。

LuteciaRS

LuteciaRS

LuteciaRS

 峠は切り通しである。「足尾4㌔、細尾8㌔」の距離標が立っている。下りになると、なぜか日本語表示のカーブとナンバーが記載された表示柱が立っている。この旧道伝いにずっと下っていくと、清滝の古河電工先から栃木県道277に入れる。277もなかなかのワインディングロードだが、それは後ほど紹介する。

LuteciaRS

LuteciaRS

LuteciaRS

 今回、最初に目指したのは寺坂峠(324㍍)。である。東北道栃木ICで降りて、栃木県道309同75同126同210を経て峠に向かうルートを選択した。126と、これと直結する210の両県道には折れ曲がったワインディング区間がある。126に沿うレーシングカート場「サーキット フェスティカ」を境に、俄然、道はワインディング性を帯び、人家は絶える。林間のなかをいく登りの山道に変わるものの、1・3~1・5車線程度は確保されており、タイトコーナーもでてきて、イケる道である。コーナーには番号が打たれ、18を過ぎると無名の切り通しの峠に着く。峠には琴平神社への参道が設けられているが、参道とはいっても幅員1㍍足らずの山を削って造った未鋪装小径。訪れる人も稀なのだろう草むしている。この峠が栃木市と佐野市の市境にあたるようで、佐野市の標識が立つ。佐野市側になると、眺望が効くようになる。ただ、小山の連なりがみえるだけだが・・・

LuteciaRS

LuteciaRS

 葛生(くずう)で210から国道293に乗り入れて万町の交差点で県道200の東を通る、市町村道を走り、仙波交差点から同202を北上。日鉄鉱業脇から出流(いずる)町に延びている市町村道に入る。道路が埃が舞ったように白っぽくなり、7時という早朝にもかかわらず、対向車にダンプトラックが増えてくる。だんだんと高度を上げつつ狭路を進んでいくと、突然、視界が開け、露天掘り鉱山を一望に俯瞰できる場所にでる。慶長年間に採掘が開始されたという葛生の石灰石・ドロマイト鉱山である。石灰石の上に表土が被さっているために同石の特徴である白い山肌でなく、土色をしている。垂直に切り崩された山に横線が走っているのは、採掘機やダンプの走行路だろう。鉱山敷地内では石灰石を焼いて消石灰にするのだろうプラントから盛んに白い蒸気が上がっていた。鉄鋼原料などになるドロマイトでは国内の9割を産出するという。


 出流町に入り、出流ふれあいの森の側から右手に細い登り坂の道が分岐している。これが寺坂峠に至る林道寺坂線であるが、こちら側にはそれを示す標識はない。同林道は植林されたスギ林のなかを縫って走るために薄暗い。ほぼ1車線狭路で、土曜の早朝とあってまず対向車に出くわす可能性は低いものの、速度を上げにくい。

LuteciaRS

 もっとも対向車には一台も会うことはなかった。途中、倒木や伐採したものの、商品価値の低い間伐材ゆえに切り倒したまま山林に放置された様子がうかがえた。スチレン化工という会社前でこの林道は終了するが、ここに林道名を記した標識がある。

LuteciaRS

 同林道に続いて栃木県道32の旧道、大越路峠(393㍍)を通りたかったが、茶屋過ぎでゲートに阻止され、かなわなかった。ゲート脇には徒歩あるいは自転車なら通り抜けられるだけのスペースがあり、クルマのみ通行止である。ゲート先の道路には落ち葉がうず高く降り積もっていた。2003年に峠を貫通させたトンネルが完成。あえて峠道を通らなければならない理由は確実に薄れた。トンネルを通行できない障害でも起きなければ、もう峠をクルマで走る機会は訪れないだろう。やむをえずトンネルを抜けて同15同337を経由して足尾に向かう同1458に入る。

LuteciaRS

 58は古峯神社から先がワインディングロードとかす。最初、道路は狭いが、次第に幅員2車線に広がり、前日光牧場への分岐点まで続く。葉を落とした冬枯れの立木のなかをアップダウンとコーナーを回り込みながら標高を上げつつ走り抜ける豪快路へと変わることを意味する。強力なブレーキング能力を備えたハイパワー車ほどおもしろいだろう。58は途中分断されているのだが、その過程を結んでいる道路は地図では白抜き表現され、一見、酷道かと思うのだが、そういう心配はまるでない。快走路なのである。

LuteciaRS

LuteciaRS

LuteciaRS

 前日光牧場に寄る。牧場に向かう道脇に、ハンターが谷を睨んで銃を構えていた。食害をもたらす鹿狩りである。11月1日~2016年2月末までが狩猟期間で前日光と南古峯ヶ原地区ではニホンジカとイノシシが対象になっている。2014年度の栃木県の林業におけるシカ、クマによる食害被害額は初めて2億円を超え、前年度比24%と急増。食害が深刻化しつつあるようだ。前日光牧場にはハイランドロッジなる宿泊施設が設けられているが、11月末で今年度の営業を終え、冬ごもり中。トイレまでロックされている。牧場内から同ロッジまでの道路はうねりを繰り返す斜面に設置された牧場柵と枯牧草のなかを通り抜けていく。暖冬なのだろう、遠くにタテに複数の帯状に冠雪しながらも黒い山肌の多く残る男体山を青空をバックに見ることができた。9時を軽く回っているのだが、気温マイナス2度(東京5時10分出発時6度)とこの日の最低をマーク。車外にでると、肌を刺すような寒風。標高1280㍍。寒いはずである。

LuteciaRS

LuteciaRS

 ロッジ前でUターン。58に戻り、粕尾峠(1100㍍)から15で足尾に。同峠から足尾までは下り。相変わらず路面が荒れているうえに、きついコーナーも少なくない。路側帯には落葉が堆積し、氷結路も2箇所あり、慎重に走る。

LuteciaRS

LuteciaRS

 足尾駅に立ち寄り、静まりかえった昭和30~40年代建築と覚しきひなびた住宅街を抜ける。293から小滝抗、本山坑を巡る舟石林道経由で290、国道122に至る周回路へ。293は国民宿舎かじか荘までは適度に交通量があるはずだが、この時季、ダイハツのノッチバック4dr軽、オプティの先行車に出会っただけであった。このクルマ、マフラーを変えていて、エンジンを吹かすと、なかなかに勇ましい音量を奏でるのだが、運転手さんは高年のひとで、安全運転に徹していて、マフラーとミスマッチしている様子がおかしい。かじか荘から通洞駅(国道122と併走する県道250沿い)までを赤銅(あかがね)の道と呼んでいる。

LuteciaRS

LuteciaRS

 かじか荘を過ぎると、交通量は皆無で、道路も山道らしくなる。舟石林道への分岐からは1~1・5車線程度で、アップダウンがかなり強め。くねくね曲がりながら舟石峠(1030㍍?)に行き着く。峠には名入りの標識がある。本山抗跡はいまにも崩壊しそうなコンクリ構造物の遺構が存在する。しかし、危険なために立ち入り禁止札と有刺鉄線も張られ、事実上、道路から眺めるのみである。同抗は1884年(明治17年)に開抗され、銅山が閉山した1973年に閉じられた。


LuteciaRS

LuteciaRS

 国道122にでて冒頭に述べた細尾峠を越え、清滝から県道277同149同164などに乗り継いで東北道鹿沼ICに向かう。ここでは277がワインディングロードで、この道に入るやいきなりの峠越え(滝ヶ原、831㍍)になる。林間のなかをタイトコーナーをクリアしながら登り詰めていく。峠を過ぎると下りが延々と続く。ほとんど幅員は1車線に近いが、スギの植林地帯をゆったりと下っていく感じである。交通量はないに等しかった。滝ヶ原の集落までは人家はなかったと記憶する。

Lutecia


LuteciaRS

LuteciaRS

LuteciaRS

 太田で太田沢林道をみつけ、進入してみた。しかし、1㌔も行かずに住人の屋敷までが鋪装で、その先はダブルトラックこそ刻まれているものの、草むしたダート。ここでUターンし、277に戻った。マイナー林道らしくネット検索してもヒットしなかった。149はスギ林のなかを走る部分がある典型的なローカルロードだが、277よりは通行量がある。といっても少ないが。13時25分に鹿沼ICに到着し、走行を終了した。
 
■全行程(GPS):約418km/最高高度(GPS):約1,335m
■フォトギャラリーはこちらです。