2016年12月20日

冬の静岡険・林道を訪ねて

 静岡県の大井川周辺の県・林道は、交通量僅少でそこそこ走り甲斐がある。南アルプス公園線なんてすてきな名称が付けられているものの、幅員、路面状態とも結構な険道であった。むしろ県道よりも林道のほうが走りやすかった。走行日12月11日、使用車輌Lutecia。

Lutecia

 新東名島田金谷ICで下道(静岡県道64,島田川根線)に降りた。6時50分島田金谷着、気温2度(都内出発時4時15分、6度)。一路、畑薙第一ダムに向けてクルマを走らせる。64の鵜網では谷間に拡がる緑の茶畑を眺めながら川口発電所で分岐する同220(倉田島田線)に。

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 伊久美先の二俣を過ぎると、220は一挙に1車線の狭い道と変わった。伊久美で零下2度まで気温が下がり、この日の最低温度をマークした。大久保のグラススキー場あたりから広狭を繰り返すクネクネ道となる。蔵田で同32(藤枝黒俣線)に入る。落差70㍍とされる宇嶺の滝(うたうげの滝)先からーそれまでも決して広いとはいえないがー幅員は1車線と狭まる。加えて延々と続く薄暗い杉木立のなかを行く登坂路。路肩にはこの時季に特有の茶に変色した杉落葉ベルト帯である。荒れ気味の路面には落ち葉が散乱し、その下に隠れているかもしれない鋭角な小石にタイヤウオールを傷つけられないよう路面をよく見ながら通行した。清笹峠(標高621㍍)の視界は効かないが、ここが島田市と静岡市の市境で静岡側はダウンヒルとなるものの、路面状況は改善し、走りやすくなった。32から国道362に接続した後、県道60(南アルプス公園線)で井川ダムまで走る。

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 60も32に負けず劣らずの険道である。とくに湯ノ島温泉を過ぎると幅員は1車線ちょっとに狭まり、路面状態もなかなかに過酷であった。今冬を乗り切ったら履き替える予定のスタッドレスのゴム質が経年変化で硬くなり、ショック吸収性が低く、路面の凹凸ををもろに伝えてくる。こんな状況が富士見峠手前までずっと継続、乗り心地の悪さにいささか疲れてしまった。富士見峠着9時32分、気温2度。同峠手前に来ると、冠雪した富士山を遠望できるうえ、道もフラットになり、乗り心地は大きく改善。同峠には駐車場やトイレが備えられているが、駐車場からは富士はみえない。しかし、階段を上れば、駐車場よりも一段高いところから富士山を眺められる。

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 井川ダムの堤頂を走り抜け、井川湖(ダム湖)に沿う60をさらにひた走る。幅員2車線道で、コーナーが多いものの、路面が平坦で走りやすい。畑薙第二ダム手前の赤石温泉・白樺莊から先は普段交通量がぐっと減るのか、路面に小石がパラパラ落ちていたりする。同湖が終わり、新井川渓谷沿いとなっているが、同第二ダムを越えると、60の終点である南アルプス登山指導センターまではあと一息である。同センターから先の道は東俣林道(非鋪装路)で、監視人のいるゲートが降りている。一般車両が同林道を通行することはできない。秋山シーズンは終了し、駐車スペースには2台止まっていたに過ぎなかった。標高950㍍とあってゲート着10時55分だったが、気温5度と寒い。



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 さて、再び60を大井川鐵道井川線の井川駅ちょっと手前の西山平まで戻る。西山平~接岨峡温泉会館までの区間は井川線に沿う狭く、山深さを感じさせる市道を抜けるのだが、同会館前から388(接岨峡線)、継いで77(川根寸又峡線)、国道362と乗り継いでいく。接岨峡温泉駅に立ち寄った。

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 小さく、古い平屋建ての木造駅舎は、開業当時の姿のままのように見受けられた。駅から1分もかからない側に温泉施設があるのだが、当日は休業日であった。388にははるか下の奥大井湖上駅が見渡せる箇所があり、そこにはいつもそうなのだろう撮鉄と呼ばれるマニアが数人、湖上駅と列車をファインダーにおさめようと待ち構えていた。

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 362の川根本町町役場近くの上長尾から分岐する南赤石林道(13㌔)に入った。大札山(1374㍍)の肩口登山道に至る林道である。上長尾からざっと900㍍ばかり標高をあげていく登坂路だが、フラットな幅員4・6㍍の鋪装路が続いている。同林道途中には尾呂久保という小集落があるため、そこまでの路面はよく掃き清められており、これが林道なのかとおもわせる。同集落までは生活道路としての役割を担っているだけに、クルマの往来も少しだがある。しかし、その先から鋪装終点までは一台の対向車、順行車と出会わなかった。また、集落から先では結構、路面に落石が落ちていたりするが、タイトコーナーも少なく、走行に障害のある問題はなかった。杉林、紅葉、冬枯れと標高を上げていくにしたがって、周囲の景観が変化。大札山肩登山口到着13時43分、気温6度。登山口(1100㍍)には椅子とテーブルが置かれた展望所らしきスペースと駐車場、トイレ、それにハイキング用の案内板が設置されている。展望スペースからはところどころ赤く紅葉した緑の山波が望めた。林道はまだ続いているが、非鋪装路で案内板によれば、行き止まりの道。もう一本、林道(杉川)が分岐していて、地図上では362に降りられそうだが、これもダートなうえ、ゲートが降りていた。

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 駐車場でUターンし、362まで戻る。境川ダム近辺の362は1車線幅員と狭く、路面も荒れている。県道263(春野下泉停車場線)に入る。362よりも走りやすい263から分かれる家山林道(16㌔)に。同林道は362の久保尾辻から続いている林道らしい。幅員2車線道で、どんどん登っていくが、最高標高で870㍍近辺である。杉林が続く林道で、当然のように路肩には杉枯葉で埋まっていたが、2箇所の大きな段差に気を付ければ走りやすい。葛篭大きく伐採した箇所があり、ここにくると突然周囲が開け、山波を通して駿河湾まで見渡せる絶景地点であった。数個のベンチが置かれ、景観を眺められるようしつらえてもある。これが同林道の最大の見所ポイントである。

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 同林道は川根町家山で国道473に接続する。473を南下し、新東名島田金谷ICで走行を完了した。同IC着15時43分、気温11度。

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■全行程(GPS):約692km/最高高度(GPS):約1,195m
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