2018年9月30日

中秋の会津、那須路

 会津、那須両地域の国・県・林道を走り回った。林道が空いているのは当然としても、国・県道もとくに福島県下は流れがよく、ミズスマシのように軽やかに足跡を刻んだ。

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 東北道白河中央SIC着、午前5時32分、気温14度。国道294に降り、天栄村方面に進路をとり、猪苗代湖の南を通る福島県道67(中野須賀川線)の諏訪峠(標高770㍍)に向かう。結論から言うと、同峠は法面崩落によりちょうど幅員が狭まるところから約2㌔区間が通行止めであった。4月から通行不能となっており、下調べ不足であった。同峠、、67の北を通る県道6(郡山湖南線)の三森峠(800㍍)、6の北にある市道から入る御霊櫃峠(ごれいびつとうげ、830㍍)の三峠とも林道由来で、いまもなお林道なのは御霊櫃のみである。三森は現在トンネルで通過するため、峠周りの旧道は閉鎖されているという。

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 すこし話を戻して294からの行程と周囲を紹介する。294を少し走ると、田園地帯が広がる。刈り取り前の田圃には黄金色の稲穂が重くたれていた。石久保団地が右手斜面上に望めるところでは、ピンクの花を咲かせたコスモスの小群落も。294から岩瀨広域農道に入り、国道118を突っ切り、67との交差部まで走る。同農道も黄金色の稲穂で満たされた田園道だが、だだっぴろい幅員の農道ではないものの、2車線幅は確保されている。諏訪峠はすでに述べたように通行止めだが「当分の間」とされ、この表記がある場合、再開通時期がいつになるのか、わからないのがフツーである。冬季閉鎖対象道であるだけに、年内に工事完了する可能性は小さいだろう。

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 峠が抜けられないとあればUターンし、再び67を走り29(長沼喜久田線)の交差部で左折(郡山南IC方面)、29に入り御霊櫃峠に向かう。このも田園道でススキ、コスモスもみられるが、47(郡山長沼線)との分岐以降、幅員がやや狭くなる。6との交差部を過ぎたらまもなく逢瀬川に沿い高篠山森林公園に続くセンターラインのある道に入る。これは市道多田野1号線らしい。民家が点在するが、次第に山道らしくなり、左手に御霊櫃林道の終点標識が立てられている。昭和43年竣工、幅員4㍍、全長13㌔とある。走行日にはウエット路で雨水の染み込んだ落葉・小枝が路肩に集まっており、この上を走るとズルッといきそうな気配。これを除けば走行に問題はない。また、茶色になったイガが踏みつぶされ、身が弾けた栗がなぜかコーナーになると散乱していた。前方にチャリ。この峠は地元のサイクリングクラブが毎年、タイムトライアルを催している。その関係か、練習に峠を訪れるチャリがいてもおかしくはない。汚れた路肩ふきんを避け、中央寄りにゆっくりと登坂するチャリを追い抜くため、大きくステアリングを右に切る。

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 霧が発生してきた。だんだん濃霧化するも峠到着。6時58分、16度。峠は強い風のなか、乳白色の霧が流れ込んでおり、視界は大きく遮られた。晴天なら好眺望峠なのだが・・・峠駐車場には5,6台が停車していた。峠は北東寄りにある、360度展望が望める額取山(ひたいとりやま、1009㍍)への登山口のひとつでもある。峠を下る。霧がはれた。ストレート次いでヘアピンというサイクルの続く区間を抜ける。登坂路は要所、要所にガードレールが敷設されいるが、下りは全長の長いガードレールが目立ち、タイトコーナーが多いことを示している。また、道路を横断する排水溝と路面との段差が少し大きい。森を抜けるとストレート路となり、水田やソバ畑が表れた。白いソバの花は花弁が散りだすなど精彩を欠いている。10月中旬から収穫期に入るので、花をもう終盤なのである。福島は全国4位のソバ作付面積を持つ有数の産地。地平線上に平坦な黒い部分が見えてくる。猪苗代湖である。県道9(猪苗代湖南線)に合流する地点で、同峠の道は終わる。

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 田園の広がる9を猪苗代湖南岸方面に走る。9は湖岸に行く道が閉鎖され、思うように降りられない。234(舟津福良線),376(湖南湊線)と乗り継いで、湖岸沿いをゆく。234沿いの小さな湖南港に寄る。江戸時代から塩、魚などを湖上輸送した港で、今は観光港。昭和38年に地方港湾指定を受けている。観光船に必要な水深をえるため既存桟橋から40㍍の桟橋が湖に向かって延びている。午前7時過ぎとあって人っ子ひとりおらず、小波が打ち寄せていた。

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 湖南港からの234,376は狭い。376では山越えふうのワインディングロードすら表れる。もっとも短距離ではあるが・・・屏風岩の西側にある鬼沼先の湖に突き出たところで、湖岸際を通る。タイルのようにコンクリ分割板を連ねた道路で景観配慮型ガードパイプが湖側に設けられている。湖面は目と鼻の先である。観光スポットなのだろう、この道の。湖水浴場のある青松浜(せいしょうはま)に。フォトスポットだが、湖面に面した側の駐車場は満車。さっさと撤収し、236(青末浜線)で国道294にでる。236は幅員のある長いストーレート道で、道の両側は見事な黄金色の稲穂田だった。

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 294から374(東山温泉線)に進路を変える。7時54分。背あぶり高原、東山温泉に向かう374は、別名東山サンラインとも呼ばれ、一見、風光明媚な観光道と思ってしまうが、これは大いなる勘違いで、実態は15㌔におよぶ森間部の多いワインディングロードである。同高原までの登坂部は幅員もあり快適性が高い。背あぶり山(835㍍)の頂近くには294からも望見された白い風車が間近になる。塔長78㍍、風車直径80㍍。巨大である。エコ・パワーが運営する会津若松ウインドファーマという風力発電施設で、8基合計約8800世帯分の発電能力を有している。運転開始3年目の新鋭設備である。山頂付近を過ぎると幅員が狭くなったり、広くなったり広狭混在しつつ、長い下りとなる。タイトコーナーも連発する。325を経由して会津若松の鶴ヶ崎城公園際を通る64にでる。8時14分、18度。64の街路樹、イチョウは上部が2割方紅葉していた。市街地の128(会津若松高田線)、130(会津高田会津本郷線)と走り、130が宮川を渡河する地点で、桜並木のある堰堤を通り国道401で会津美里町方面に向かう。

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 401は長閑な田園を抜けていくローカル国道で、道際にはススキが出穂していた。401には博士峠(はかせとうげ・1070㍍)越えの難所がある。新宮川ダム先から美里町側と昭和村側の山間部が同峠をはさんで冬季閉鎖区間となる。同区間は道路改良工事中であった。幾度となく自動交互通行信号機が設置され、停車させられた。この信号機の赤時間が長い。4分間程度あるのだ。博士峠への登坂路はヘアピンが2つ程度だが、下りは多発するものの、幅員がそこそこあり、この手の道になれていれば、走りにくくはない。9時16分、同峠走行終了。

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 博士峠の道路改良工事は峠越えをバイパスするためのもので、冬季閉鎖区間に相当する7・4㌔が対象。うち4・5㌔がトンネルとなって峠下を抜ける。現道の幅員4~5㍍を新道では6㍍に広げ、設計速度60㌔(トンネル40㌔)とする。バイパスができると、通年通行可能となる。完工は2020年度で、3年前倒した。トンネルの起工式がこの9月に開催されている。バイパスが通れるようになると、旧道化する現道はたぶん通行止めとなる。

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 博士峠を走り終え、国道400に。下郷町(南会津群)で400から分岐する県道346(戸赤栄富線)、次いで131(下郷会津本郷線)を経て、わらぶき屋根の民家が建ち並ぶ観光地、大内宿を目指した。少通行量の400,一部集落内で1車線となる以外はこれも僅少交通量の346。いずれとも快走、国・県道である。センターライン付きの131は中山峠(695㍍)で6、7箇所のタイトコーナーが待ち受けるが、峠までは数分で登り詰めてしまうほど短い。峠からの下り、大内宿が近づくと、その駐車場を見下ろしながらとなる。駐車場はかなりの数が停車していた。混雑することが予想され、同宿見物はスルーし、329(湯野上会津高田線)9に入る。10時35分。同宿の観光客だろう、329は思いの外、多くの対向車と出会った。347(高隯田島線)で会津鉄道の湯野上温泉駅に立ち寄った。

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10時41分。大内宿の民家にならって駅舎はわらぶき屋根。同鉄道が第三セクターの運営に変わった昭和62年に屋根をふき替えた。同時に開業時(昭和7年)の駅名湯野上に温泉を追加し、現駅名に変更。駅は東北の駅100選のひとつに選ばれているものの、駅舎内には囲炉裏をしつらえるなど、いささかやりすぎ。

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 駅退出。国道118に乗り入れてまもなく芦ノ原で「緑資源幹線林道 米沢下郷線 下郷(1)区間」の青看を発見。かつて存在した、無人の山中にたくさんの大規模林道をプランニングした緑資源公団関連であることは名称からすぐにわかった。しかし、この林道、カーナビでは行き止まり。アナログ地図で点線区間付で347の白岩に抜けられるよう描かれている。と、先導車に導かれて大型トレーラー2台が林道から118にでようとしていた。林道直後の右コーナーに別の林道らしき分岐点にトレーラーが迷わないよう立っていた誘導員に聞くと、抜けられると教えてくれた。入線。長い下りの山道だが、路面はフラットでコーナーもきつくはない。6分足らずで347に合流。白岩は湯野上温泉駅とひとつ会津田島駅寄りの塔のへつり駅との間にある地名である。

 10時41分。大内宿の民家にならって駅舎はわらぶき屋根。同鉄道が第三セクターの運営に変わった昭和62年に屋根をふき替えた。同時に開業時(昭和7年)の駅名湯野上に温泉を追加し、現駅名に変更。駅は東北の駅100選のひとつに選ばれているものの、駅舎内には囲炉裏をしつらえるなど、いささかやりすぎ。

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 国道121と会津鉄道との間を並走する347は1車線強と狭い。うす暗い森の中に入り込んでいく感じで4連ヘアピンで登坂する区間も。崖から5㍍程度の落差と幅のある滝まで出現する。道には水が降り注がないようになっているが、大雨でもあれば、道路上にも落水することは必至だ。下りになり、民家が見えてくると、道は広がり一息つける。交差する国道289に入る。11時34分。

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 これから先は289を白河方面に向かい、栃木・福島県道290(那須甲子線)、栃木県道305(豊原大島線)と折れ、那須高原スマートICから東北道で帰京する当日最後のルートである。289は流れのよい山間快適道。甲子峠(1400㍍)をトンネルで抜けられるようになって白河と南会津の道路がつながった。それまで峠は点線国道と呼ばれ、自動車通行不能だった。10年前に全通した。甲子トンネルは全長4345㍍と長い。同トンネルは改修工事が今年から本格的に始まっている。下郷側から入洞して1・7㌔の地点で長さ100㍍が工事区間。路面が盛り上がってしまうという、いわゆるトンネル変状を修正するもので、この区間前後が交互通行。粘土性鉱物の土質が地中水を吸い、膨潤したことで路面隆起したとされる。工事にともなう日中のトンネル通行止め、夜間通行止めの期間が設けられており、ここを通行するなら調べておいたほうがいい。工事は来年も続く予定。

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 290に入る。途中からかつて那須甲子有料道(平成20年無料化)となっていた道で、登坂ワインディングとなる。幅員は広いが、路面は結構荒れており、乗り心地を損ない、あまりいい印象はない。290に沿って廃業した白河高原スキー場が立地する。立ち入りできる状態になっていたが、砂利敷の駐車場の周囲を穂を出したススキが取り囲み、2階建てロッジは窓ガラスが割られ、いかにも廃虚然とした雰囲気である。なぜか、15台はくだらないクルマが停車。すべて廃墟マニアとも思えないけど。同スキー場は赤面山(1701メートル)の斜面がゲレンデ。ここから同山に登ることができるので、ハイキングの人たちなのかもしれない。昭和47年というから高度成長期の最後に同スキー場は開業し、平成12年のシーズンで営業を終えた。305は牧場や那須どうぶつ王国の脇を通過するなど視界の開けたフラットな下り坂が国道4まで続く。コーナーもゆるやかで、道路際には桜並木があったりし、快適な道である。国道4から那須高原SASIC入路。走行完了。12時45分、25度。

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■全行程(GPS):約663km/最高高度(GPS):約1,105m
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