2019年10月6日

静岡、長野のマニアック道

 酷道として知られる国道152と、そこからの分岐路を走行した。観光地も点在しているものの、ほとんど狭いマウンテンワインディングロードで、走ることが目的ならば、それなりに走り甲斐があるはず。走行日2019年9月28日、使用車輌c63。


C63AMG

 152を静岡側から北上し、周辺道を巡りながら長野側に抜けるルートをとった。新東名浜松浜北IC(午前5時45分着、気温22・5度)を降り、152に入る。船明ダムを通過、西雲名で152を外れ、雲名橋を渡ると、十字路。直進が天竜スーパー林道の入り口(6時24分、21・5度)である。

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 入路際の集落を過ぎると、大きなスギが林立する深森に分け入っていき、本格的な登り山道となる。同林道のなかでも最もタイトなコーナーが続き、斜度も大きいワインディング区間といえるが、距離は短く、あっという間に広い駐車場を備えた平坦部に行き着く。茶褐色の大鳥居の先に石造りの階段がずっと続いている。この鳥居が秋葉神社参道入り口である。小雨が降っており、神社参拝は見送る。

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 神社先からの林道は一旦下りに転じるが、また登りとなり、そのうちに稜線上にでる。うねりのある伐採跡地に風車6基の発電施設が見えてくる。風車は回っていない。天竜区では複数の企業が風量発電施設を設けているが、ここはJR系の施設のようで、環境影響評価中のため風車を止めているらしい。稜線上には23年前に整備された「天竜の森」の中央、北両駐車場が林道沿いに設置されている。中央駐車場着(7時8分、15・5度)。雨はほぼ止んでいるが、ガスが立ちこめ、天竜の森は視界不良であった。ここは竜頭山(1352㍍)の近辺である。稜線を走る距離は長く、道までせり出し繁茂したススキがいっせいに開花していた。

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 1984年に全通した、この林道は長い。総延長53㌔もある。しかし、交差する静岡県道389(水窪森線)から終点の水窪ダムまでの区間は災害通行止めで走行できないものの、それでも389までの区間は36㌔もある。山住峠(1060㍍)の下りはスギの森の中を下っていくのだが、ややワインディング性に富んでいる。下りよりも登りのほうがそれを感じそう。389との交点着(7時24分、16度)。右手に山住神社の社の屋根が見える。389を国道152側に向かう。森のなかをずっと下っていく軽快屈曲路で幅員もせいぜい1・5車線程度である。

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 152着(7時48分、20・5度)。水窪町で152から浜松市道水窪白倉線)で水窪ダムに。白倉川に沿う山の中を貫く狭い市道水窪白倉川線を進んでいくと、山中にポツンと立つ同ダムに到着(8時8分、19・5度)。1969年竣工のロックフィルダムの運営は電源開発である。ドロンとした濁りのある薄緑色の湖面。ダム堤頂部(258㍍)を通過してダム北面に行き、北上する林道に入る。水窪ダムスーパー林道らしく、途中で左に下り分岐する大寄林道(3・2㌔)に入る。この林道で水窪白倉川市道にでようというわけである。

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 大寄林道は1車線ちょっとの幅員だが、ほとんど通行量がないために、路肩には落葉が積もり、道路中央には雑草が30㌢も生えている箇所もでてきた。深い森のなかなのだが、驚いたことに数軒の民家が存在している。しかし、住人が住んでいる気配はなく、無人のようにおもえた。あと数百㍍で同市道が望めるところまできて、林道は土砂で完全に塞がれている。法面崩壊である。Uターンし、水窪ダムまで戻り、同市道に入らざるを得なかった。法面崩壊箇所は市道から見ることができ、林道と市道の合流点には通行止めの標識が立てられていた。ダム側からの林道分岐にはなんの標識もでておらず、こちら側からの利用者はほとんどいないことを示していそうだ。

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法面崩落通行不可
同市道は152の不通区間の代替路である兵越林道に続いている。というよりも兵越峠(1500㍍)を県境とする同林道の静岡側は市道に改められているのだ。長野側は峠を境に長野県道369(南信濃水窪線)となる。旧兵越林道は幅員こそ狭いが路面がフラットで、対向車に気を付けていれば走りやすいワインディングロードである。152に接続(9時38分、21度)し遠山郷へ。「かぐらの湯」「旧木沢小学校」を越え、上島トンネルをくぐると「下栗の里」(飯田市上村下栗地区)に向かう赤石林道が分岐する。どんどん登っていく同林道に入り、切り返しが必要な左分岐路に。基本的にこの分岐路からは1車線しかない階段状に民家の建ち並ぶ急坂のくねくね道である。そば処と高原ロッジのところで同里の平坦頂点部で駐車場(標高1076㍍、10時10分、20・5度)となる。開けた視界に入るのは対岸の山々と茶色に流れ下った崖崩れの跡である。急傾斜のために眼下にある下栗の里の民家群はここからでは望めない。下栗の人口は82人(38世帯、2015年国勢調査)。いつだかわからないが、ピーク時300人超であったとされ、これに比べると、大きく減少しており、10年後に集落を維持できるのだろうか。日本のチロルといわれる天空の集落だが、観光客が増えても居住者のすべてが恩恵に浴せるわけではないだから。

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下栗の里

 次はしらびそ高原に向かう。下栗の里駐車場前の道を上っていけばよい。南アルプスエコーラインという名称がつけられているが、実態は御池山林道である。平坦路で幅員もすれ違えるだけの広さがあり、走りやすい。高度が上がるにつれ、紅葉にはまだ時間があるものの、落葉樹の一部が黄色に色づき始めていた。標高1918㍍の高原ホテル「ハイランドしらびそ」着(10時48分、14・5度)。南など三大アルプスが一望できるロケーションだそうだが、風に舞った濃い霧がカーテンのようになり、なにも見えず。同ホテルの一角に緑色に塗られた小さな気動車と客車が置かれている。1944年に建設、1973年にレールが撤去され、役割を終えた遠山林鉄で使用された車輌である。同林鉄の遺構などは昨年、林業遺産に選ばれ、地元では気動車を走らせる復元作業に入っている。同ホテルから少し下ったところがしらびそ峠(1833㍍)である。4台程度止められる砂利敷きの駐車場と峠名を記した標板が設置されている。ここも眺望ポイントだが、当日はガスに覆われ、眺望は効かなかった。

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 同峠を下っていくと、152の地蔵峠(1314㍍)未通区間を代用する蛇洞林道に接続し、地蔵峠を越えていく。峠周辺道は昨年、工事通行止めだったが、今年9月に通れるようになった。しかし、まだ道路改良工事は継続しており、数カ所短距離だが、砂利道。152に復帰するが幅員は上青木(大鹿村)あたりまで狭い。小渋橋を渡河した先で黄金色の稲穂を撮るべくあぜ道らしき道に入ると、高台に公園らしき施設が見えるので、そこに向かってゆっくりと進行。その施設は大西公園(12時10分、23度)という名称であった。この公園には設けるに当たって謂われがある。1961年(昭和36年)6月、停滞した梅雨前線と台風が加わって集中豪雨をもたらし大西山(1741㍍)が山体崩壊。流れ出した土砂が大西山裾を流れていた小渋川対岸の39戸を押し流し、39名が亡くなった。死者の慰霊を込めて公園が造られたのである。残った山の斜面にはコンクリ吹きつけによって再崩落処置がなされており、公園にしては異様な景観である。地元民が公園に桜の木を植樹し、その数、3000本。今では長野県で有数の花見ポイントになっている。

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 公園を退出し、諏訪に向けて再び152をたどる。分杭峠(1420㍍)への登りにかかると、幅員は狭まり、分杭のあとすぐに中沢峠(1317㍍)と続く。中沢峠の下りで対向車に遭遇。アクア、アルファード、分杭峠行きシャトルバスとだんだんと車輌が大きくなった。いずれもすれ違えるだけの幅員がなく、バックして少し道幅の広いところで、すり抜けてもらった。美和湖では湖岸にある赤い吊り橋の神田橋にクルマを載せた。対岸まで渡ってUターンし、また152に復帰。杖突峠(1247㍍)を越え、安国寺トンネルを抜ければ、中央道諏訪ICはもうすぐである。同IC着(14時2分、22度)。ここで走行終了である。

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■全行程(GPS):約677km/最高高度(GPS):約1,910m
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