2020年1月12日

奥静ロングワインディング路

 年末恒例になってきたオクシズ(奥静)にでかけた。寸又峡、畑薙第一ダムなど観光シーズンが終わり、静けさを取り戻したエリアで、できるだけ屈曲路を選んで走ってみた。走行日2019年12月29日、使用車輌Alpine。

Alpine A110

 新東名静岡スマートIC(午前5時48分着、気温4度)で降車し、国道362、県道77(川根寸又峡線)と伝って、最初の目的地寸又峡に向かった。362は片側1車線の幅員をほぼ確保しているものの、県道32(藤枝黒俣線)との分岐点を越えると、1・5あるいは1車線幅員にまで狭まり、山間部に分け入っていく雰囲気となる。道はくねくねと回り込んでいき、少しずつ標高を上げていく。ゆるやかな屈曲度だったのが、次第にタイトコーナーに変わる。ヘアピンが立て続けにあらわれ、まるでつづら折れのごとくして高度を稼いでいく。上り勾配12%の標識もでてくる。道の両側は樹林に覆われ、景観は効かないが、標高が上がるにつれ、頭上の視界は開けてくる。全幅1・8㍍未満、できれば5ナンバーサイズ級のハイパワー車輌で走ると、おもしろい道である。

Alpine A110

Alpine A110

 川根本町の標識から道は下りに転じる。依然として屈曲路が継続し、下り勾配10%の標識も。しかし、洗沢(地名)から先になると、ぐんと幅員が広がり、センターラインも引かれている。今度は速度がどんどん上がっていくダウンヒルを経て、再び狭路となるものの、馬路大橋までくると幅員は広がり、千頭到着(7時24分、2度)。362に入ってから千頭までおおよそ30分かかっているが、この間、ずっとワインディングロードである。362の昼間の通行量がどの程度あるのか、わからないが、観光シーズンでもない年末の早朝であれば、皆無に等しい。大井川鐵道のサイトによると「千頭から静岡方面に向かう362は道幅が狭く・・・時折通行止めをともなう工事を行うことがあるのでおススメできません」として「大井川沿いに南下するルート(362,国道473を指す)で島田金谷IC利用」をススメている。では、誰が通るのか。「地元の方々が利用する道路」(同サイト)なのだそうである。この指摘はある意味正しい。ただ、酷・険道や峠マニアにはおススメである。

Alpine A110

 さて、千頭から77に入れば、寸又峡温泉街までは一本道である。この道路は幅員が広がったり、狭くなったり忙しい屈曲路。狭路では対向車の有無を告知する検知信号機が置かれているほど。山肌を削って道を造ったらしき区間もあり、寸又川削った谷は深いが樹木が繁り、それが見えにくい。この道、もともとは林道大間線といい、この道ができたことで自動車通行で寸又峡まで可能になった。昭和37年(1962年)のことで、東京都の人口が1000万人に達した年でもある。また、東洋工業(現マツダ)がキャロル360という軽乗用車を発表してもいる。未鋪装の温泉駐車場地表は真っ白だった。霜が降りているのだ。温泉街入り口の鋪装駐車場着(7時54分、1度)。駐車場の奥には例によって小さな気動車とそれに連結した客車が展示されていた。かつて存在した千頭森林鉄道の遺産である。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

 77はここで終点。Uターンし77と388(接岨峡線)の分岐まで戻り、388(8時24分、2度)に入る。ここからは畑薙ダムのある60(南アルプス公園線)の終点まで走る。388から分かれる長島ダムへの道を経て再度388に復帰。同ダムの堰頂が通行できるため、わずかばかりだが、388をショートカットできる。駅舎は見えないが閑蔵から井川までの区間は静岡市道閑蔵線(距離約6㌔)となる。道幅は1・5車線へと縮小し、屈曲しだす。通行量は多くはないものの、時折、地元車と覚しき車輌が走っており、ブラインドコーナーもあり、速度は控えたほうが無難である。また、この道は落石が道路上に転がり出ていることが少なくなく、走行当日も転がっていた。タイヤを傷つけないよう走ることはいうまでもない。井川近くになると道路改良され幅員は一挙に広がり、60に合流する。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

 井川湖(ダム湖)や大井川の縁に沿って通っている60は小さく曲がったり、大きく曲がったりしながら延々と終点まで続く屈曲県道だが、ほぼ2車線幅あって対向車がきてもさほど気を使うことはない。幅2㍍までの車輌の通行可能な全長258㍍の井川大橋を対岸まで渡河。吊り橋ゆえゆさゆさと揺れる。60㍍の橋下には乳緑色の井川湖水面と畑薙方面にそびえる冠雪した峰を望めた。対岸でUターンし、60に戻る。田代の集落を過ぎると民家はなく、一般車両で行ける最奥の施設、白樺莊を過ぎると、もはや人家はない。白樺莊までは道の整備は行き届いているが、ここから先は路面性状はやや荒れ気味で、落石もみられた。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

 畑薙第一ダム着(9時39分、1度)。この先、5分も走れば南アルプス登山指導センターで60は終点を迎える。同センター前の駐車場には登山者のクルマが10台近く止まっていた。60の先は東俣林道に続いているが、一般車両通行止め。林道奥でリニア中央新幹線の工事が始まっている。このため、JR東海が12月28日から正月休工の表示板を設けていたのが、昨年とは違う様相であった。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

 Uターン。60沿いにある井川大仏に寄る。井川湖を望むはずの小高い山頂に全長11㍍の白亜の大仏が鎮座している。地元の医師が昭和55年に開眼させたもの。小さな東屋と社務所が設けられているが、訪れた当日は無人であった。大仏に至るまでの階段が220あるらしく、これがきつい。太ももが痛くなるし、息が切れた。階段両脇には赤に白抜きで井川大仏と染め抜かれたノボリが林立し、奉納者の屋号や氏名が書かれている。大仏山頂から井川湖が望めるといいのだが、建立から時間が経過し、樹木が成長したことで、ごく一部しか見えないのが残念であった。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

井川大仏

井川大仏

 井川ダムから60で富士見峠(1184㍍)までの登りにかかる。幅員は狭いが、峠近くから尾根伝いになり峠着(12時1分、5度)。峠からは基本的に下りとなるが、路面はややラフ。笠張峠(1049㍍)で60から分かれ、189(三ツ峰落合線)に入り、27(井川御幸線)で新東名の新静岡ICから帰宅する今回最後のルートである。189もラフ路でうねりもありクルマが揺さぶられる。幅員はなんとなく2車線らしく、センターライン付もでてくる。ただし、コーナーはタイトで急坂連発となる区間もあり、典型的な山岳ワインディングロードである。そんな道も横沢まで降りてくるとフラット路面に変わり、それまでよりも走りやすくなり、ほどなくして27(12時51分、11度)に突き当たる。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

 189の東に大日峠を越えていく27が走っている。こちらは1車線区間がある山道で、現在、静岡市葵区から井川に抜けるには189がメインルートになっている。とはいえ189の屈曲路走行タイムは長ーい。新静岡IC着(13時1分、14度)。ドライブ終了。

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

Alpine A110

■全行程(GPS):約558km/最高高度(GPS):約1,191m
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