2021年10月30日

屈曲路三昧・都下、神奈川、山梨

  陣馬街道、上野原丹波山線、松姫峠に向かう国道139旧道、大菩薩ラインと呼ばれる青梅街道の区間、大菩薩嶺登山口のある塩山停留所大菩薩嶺線など都、神奈川、山梨のローカル色の強いワインディング都県道などを周遊した。いずれも通行量はひじょうに少ないうえに、距離の割に走り甲斐がある。走行日2021年10月24日、晴れ、使用車輌Alpine。

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 最初に向かったのは陣馬山登山口でもある和田峠(標高700m)。中央道八王子JCTで圏央道に入り、ひとつ目の出口、八王子西で降車(午前5時43分、気温9度)。都道61(山田宮の前線)にでて交差する陣馬街道(都道・神奈川県道521)に。同街道は61に比べ、幅員がやや狭く、くねくねとしており、古くからの道らしく周囲はなんとなく鄙びた雰囲気を醸し出す。最高速30㌔の表示板も。頭上高く架かっている圏央道高架橋をくぐる。「夕やけ小やけふれあいの里」を過ぎると、道はさらに狭くなる。「陣馬高原下」停留所(西東京バス)と併設バス転回所が路線バスの終点。この先は民家が途絶え、本格的な和田峠への登坂が始まる。

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 この峠道はほぼ1車線といってよく、とにかく狭い。加えて空に向かって聳えるスギ林は陽を遮り、昼なお暗いだろう。離合スペースはほとんどなく、一部広く回り込んでいるコーナーで、すれ違える程度。出会った対向車は軽トラ1台。ヘアピンは5箇所と判断したが、なにしろスピードを上げられないので、さほどタイトという感覚は薄い。それよりも全高1250㍉と低いAlpineでは前方視線とガードレールが同一線上となり、狭路と相まって圧迫感がある。対向車の有無に注意を払いながら登っていくほかないが、路面性状は悪くない。前方が開けてくると、峠である。

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 峠着(6時27分、6度)。茶屋は営業前で駐車場はガラ空き。ここまでが陣馬街道(都道521)で、この先からは神奈川県道521(上野原八王子線)に。実際の都県境は峠を少し下ったところにある。次は松姫峠(1250m)に向かう。和田峠からは山梨県道18(上野原丹波山線)にでるまでの間、基本的にずっと屈曲の多い下りが続くものの、幅員は広くなり周囲も明るい。急坂では2ndでエンジンブレーキをかけても減速限界に達し、逆に加速してしまう。途中、白く冠雪した富士山を遠望できる箇所も。峠から5分も走れば、民家が現れるものの、屈曲路はまだまだ続く。

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 道は神奈川・山梨県道522(棡原藤野線)に切り替わる。522もワインディング路で、右に左に折れ曲がっている。レイク相模CC近くで手前の黒い山塊を従えたかのように正面に富士山が突出して見える場所がある。山梨県道33(上野原あきる野線)を介して同18(上野原丹波山線)に入線。18は丹波山村で国道411(青梅街道)に合流するまでの間、ざっと40㌔余り延々と続く、広狭織り交ぜたワインディング県道である。長作観音堂先にある鶴峠(870m)にヘアピンが待ち受け、急坂で下る。国道139と同18との供用道に着くまでたっぷり30分はかかる。

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 139で大月方面に曲がり、標識に従って松姫峠の登坂路(139旧道)に入る。峠への道は小菅村方面からしかない。峠の下を全長約3㌔の松姫トンネルが2014年11月に開通して以降、大月側から峠までの区間は一般車両シャットアウト。峠道は両肩部分に茶色の枯葉が堆積し、中央部分の2㍍程度のみ鋪装が露出する。同トンネルができてから交通量が激減し、枯葉の散るにまかせている様子だ。
 クルマがめったに通らなくなった峠頂上までワインディングを楽しめるものの、約7㌔の行程とあって、15分もあれば、峠に到着(7時45分、6度)できるだろう。大月側は赤く通行止めと表記したゲートで閉鎖されている。下れない。また、峠には奈良倉山(1349m)などへの登山者のために8台分の駐車場とトイレが備えられている。他県ナンバーの5台が止まっていた。

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 峠ゲート手前に林道松姫峠線終点、7・6㌔などと書かれた白い杭が土中に打ち込まれていた。走ってきた道は小菅村の村道扱い。林道となったのはゲート先から大月側入り口までの139旧道区間を指すようだ。ということは大月側からの同旧道は道としては維持され、関係者のみ通行可能と推察される。

 トンネルの開通は小菅村住民の生活利便性を大きく向上させた。村の実施したアンケート調査によると、開通前は買い物のしやすさとして東京都青梅市外地が82%を占め、大月・都留市街地は1%にも満たなかった。しかし、開通後青梅市をあげたのは7%に急落、大月・都留が85%と急上昇した。どちらに行くとしても開通前は1時間ちょっとの所要時間だった。開通後、大月・都留は30分短縮され、40分でいけるようになった。隘路となっていたのは、険しい松姫峠越えの往復である。開通したことで商圏が都から地元県に移動した。また、開通前は路線バスが峠を越えられなかった。開通後、バスは大月と村を結ぶ運行を開始。下宿を余儀なくされていた高校生は村から学校まで通えるようにもなった。

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 さて、来た道を戻り、次に青梅街道(国道411)にある柳沢峠(1472m)を目指す。139、18とたどり、丹波山村で青梅街道に入った。18では木漏れ日の漏れるスギ木立のなかを通る区間が幅員も広く、気持ちがいい。どんどん下っていき、同街道入線(8時14分、6度)。青梅街道塩山方面に。柳沢峠への登りは路面改良済みで広幅員かつフラット路面のワインディングとなる。ぼつぼつ紅葉が始まっている。当日は対向車線にはソロ、あるいは集団ツーリングする大型多気筒バイクが、奥多摩周遊道を走るためなのか、多く見られた。彼らは下りとなり、エンジンブレーキにともなうた野太いエキゾーストノートが耳に残った。

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 峠着(8時4分、6度)。茶屋はまだ営業していないが、十数台のバイクが休息中だった。峠は富士山を望むビューポイント。青空を背景に大きな冠雪富士の山容を眺望できた。峠直下の下り左コーナーには駐車スペースではないのだろうが、路肩部分が広くとられ、ここでもクルマを止めて富士を仰ぎ見ることも可能。道路は改良されており、軽快なワインディング路である。分岐する山梨県道201(塩山停留所大菩薩嶺線)に入線(8時52分、6度)。201は狭く、路面もフラットではない。枯葉が路面に散ってもいる。ヘアピン連続で高度を上げていくが、左コーナーがブラインドとなり、前方を視認しにくい。

 上日川峠(1585m)着(9時7分、5度)。大菩薩嶺(2057m)の登山口で、山小屋の長兵衛ロッジもある。ロッジ前は多少スペースが広くなっているものの、10台程度渋滞中。登山者の駐車場待ちである。おまけに登山者を運ぶ臨時の中型バスが対向してきていた。ロッジ休息所はひとがあふれんばかりに蝟集。山道に不慣れな一台のSUVがバス脇を通り抜けるのにもたつき、スルーするのに手間取る。クルマを置ける路肩という路肩にはすべて駐車済みの有様。ロッジを過ぎても合計で5台ほどの臨時バスと対向した。201は過去にも走ったことがあるものの、これほど多数の登山者車輌を見たのは初めて。紅葉時期には早朝の時間帯や下山するであろう午後3時過ぎに通るのは避けたい。

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 201は道なりで218(大菩薩初鹿野線)に県道チェンジする。ロックフィル形式の上日川ダムに寄る。9時22分、5度。堤頂標高1486mは国内3位。ちなみに1位は南相木ダム(長野県)の1532m。ダム湖面対岸のカラマツは茶色に色づきだしていた。218に戻り、当日最後の峠となる笹子(1050m)に向かう。

 218も210と同じような狭いバンピーな屈曲山道ではあるが、下っていくにつれ、幅員は広がり、フラットになる。218では黒のc200が先行車だった。このクルマは狭い下りをものともせずに、速い速度で降りていった。これについていく。こういう山道を走るメルセデスをこれまで見たことはない。
 しかも、土地勘のある地元車ではない。千葉県下のナンバー。山道を走るのに相当手慣れている。このc200には、当日のワインディングMVPを進呈したい。途中で道沿いの渓流の流れる脇道にクルマを寄せたので、ここでc200とお別れ。武田家最後の大名、武田勝賴を弔うために徳川家康が建立した景徳院山門前で小休止(9時57分、9度)。

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 国道20にでて、いったん勝沼方面に行き、分岐する20旧道で、今は212と呼ぶ山梨県道に入る。道路両肩部は落葉で埋まり、狭いながら2車線あるのだが、よけい狭くなっていたものの、走りにくいということはない。周囲はスギと雑木が茂り、うす暗い。対向車はオフロードバイク1台。現道20の笹子トンネルを抜けたほうが勝沼方面に行くにしろ、大月方面に行くにしろ、はるかに時間短縮できるので、あえてワインディング212を選択する理由はなかろう。

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 峠は1車線のトンネルで通過する。トンネルを抜けたところにある駐車スペース着(10時17分、9度)。小休止。現行ジムニーが止まっていたが、乗員はいない。2台がトンネルを通って大月方面に下っていった。その程度の通行量である。

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 淡々と212を下る。20との合流点は新規に道路が造られ、以前のそれよりも少しばかり勝沼寄りに設けられている。中央道大月IC着(11時、19度)。ドライブ終了。



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■全行程(GPS):約310km/最高高度(GPS):約1,637m
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