最初に向かったのはマザー牧場である。館山道利用だと、君津PAのETC専用出口を使うのが、同牧場への最短距離となる。ただ。同PA出口は6時~22時の限定時間しか開いていない。加えて、全長6㍍を越える車輌はでられない。同牧場や鹿野山への観光の便宜を図るために千葉県道163に合流できるよう山中に無理に道路造成しスマートIC化したようで、距離は短いものの、幅員も広いとはいえず、コーナーもえらくタイトである。ハンドル操作を誤れば、崖下に転落しかない。夜間通行を禁じている理由がわかる。
163はドリフト禁止表示のあるそこそこの登坂ワインディング険道で、右に左にステアリングを切りながら同牧場目指してどんどん登っていく。途中、同牧場に向かう表示があるが、これをパスして接続する同93でも同牧場に行き着ける。6時20分前後、同牧場到着、2・5度(出発時5時46分、8度)とこの日最低の気温をマークした。この時間帯では同牧場はむろんオープンしていないが、正面ゲート前の道路脇は日当たりがいいようで、葉が薄茶色に変色しだした終わりかけの菜の花の出迎えを受けた。同牧場内の斜面には黄色の花を付けた菜の花の植え込みがみえ、こちらのほうはまだ見頃らしい。
湊方面に93を走り国道465を経て、スピードの乗るワインディング路、県道182に。182横根峠で同34に入り、佐久間ダムに向かう。1月に訪れた際には咲き誇っていた水仙はすべて散り、濃緑色の葉のみとなっていた。
しかし、ダム湖を見下ろす道路沿いには代わりに早咲きの薄いピンクの花弁の桜(河津桜)が散り始めてはいたが半分程度残り、同ダム湖畔に行くにしたがって8分咲きでまだ残存していた。今年は暖冬、水仙にしろ桜にしろ開花時期が例年よりも早いようで、それだけ終わりも早く、鋸南町のサイトによれば、3月10日には同ダムでの桜は葉桜状態だそうで、1週間遅ければ、ここで河津桜を見ることはできなかった。
同ダムから同184、同88で白浜方面に南下。88は同258が接続してくる上滝田あたりから道の駅あたりまでは田園のなかを走る約3㌔の長いストレートである。道の駅近くの三坂で満開の菜の花畑を発見した。
三芳村から安房グリーンラインに入る。交差する同188過ぎあたりから同ラインは幅員のある本格的な快走路と化す。山を切り開いて道路を造った同ラインは土曜日の早朝とあって交通量も少なく、自然にアクセルを踏み込んでしまうほどである。
しかし、正面に広がる太平洋を望めるようになると、同ラインはあっけなく終わる。白浜町である。白浜のホテル群のあるメイン観光ゾーンには向かわず、陸揚げした漁船の並ぶ小さな名倉海岸にクルマを乗り入れた。8時30分、気温15度。青空にはところどころ白雲が見られるものの、午前中は晴れとの予報通りの天候で、ヒーターを入れてきた車内は暑い。
ここからはまたグリーンラインを通りつつカーナビ頼りに適当なルートで鴨川に抜ける。同ラインの安房白浜トンネルを抜けた直後(トンネル北口)左手に200万年前に発生した海底大規模地滑り地震の痕跡を示す地層を見ることができ、その右手に駐車場と地層解説板がある。この先の同ライン右側にパーキングマークがあり、ここに入っていくと、どうにか5ナンバーサイズの車輌ならなんとか離合できる程度の幅員の道路が続いている。これを突き進んでいくと、分岐路となり、左路路肩には黄色地に黒字で林道名を記した菱形標識が立っている。千倉林道と読める。
同林道は房総半島の林道としては約5㌔と比較的距離のある道のりだが、すれ違い困難な1車線部分が結構長い。全線鋪装されてはいるものの、道がとにかく汚い。落葉・枝が道全面に盛り上がるように広がっているうえに、荒れた箇所では水たまりもあり、房総でよく見られる湿潤路面の林道である。おまけに薄暗く、空の見えないうっそうとした竹林のなかを行くところでは、ところどころ強風でだろう折れた竹が道側にしなだれかかってさえいる。
こんな有様だからゆっくり、ゆっくりとしか前進できず、普通なら林道でも2ndまで落とせば十分走れるのに、ここでは1stまで下げて走る場面もあった。同林道では深い切り通しと1車線幅の2本のトンネルが設けられているが、このうち1本はかなり長く、向こう側の丸い抗口が小さく見えるほど。無照明。徒歩ならペンライトでもないと通り抜けるのが怖そう。当日は「南房総フラワーマーチ」(日本マーチングリーグ主催)なる公式ウオーキング大会が開かれ、同林道がコースの一部になり、参加者が断続的に向かってくる。なかには地元らしいジャージー姿の中学生か、高校生かの団体も混じっていた。狭い林道がよけい狭くなり、サイドミラーを折りたたんで、接触しないよう彼らの脇をノロノロと走り抜けざるを得なかった。
同林道はたぶん起点となるであろう千倉地区の場所にも林道名を示す標識が立つ。道なりに南朝夷、北朝夷の千倉郊外の住宅地などを進み、写真家・浅井愼平氏の作品を展示する海岸美術館脇を通り、県道188を経て、187の瀬戸交差点先から市町村道に入る。
加茂で国道128を突っ切り、県道296にでて国道410に。これと併走する一本西寄りのこれも市町村道を北上する。再び410と合流した珠師ケ谷で皆倉林道を発見し入線。同林道入り口には「ふるさと学舎」(障害者施設)の案内板も掲示され、こちらのほうが林道標識よりもはるかにサイズが大きく、同林道入り口の目安になるだろう。同林道は2㌔もない極短距離で、登り坂からはじまる。コンクリート鋪装のために、路面継ぎ目の段差が大きく、段差を乗り越えるたびにドシン、ドシンとクルマのリヤが跳ね上げられるのに閉口するが、生活林道といった趣きの道で、とくに景観に優れてもいない。同学舎がみえてくると、同林道も終わり。
同林道は和田町小向で県道186に接続する。186を北上するが、まもなく小向林道の標識に出会い、入り込む。
1975年に完工した上水道用の小向ダムの右岸を通っているのが同林道で、ダム湖をはさんで対岸に186が通っている。とりたてて特徴ある林道ではないが、路面はクリーンで走りやすい点では皆倉林道と同じ。小向林道は畑で県道272に接続する布野林道につながっているらしいが、途中の分岐道から同89に抜けた。89を東に向かえば鴨川に着くが、坂本で嶺岡中央林道にでられる白滝坂本林道に入った。急坂をくねくねと登り詰めていくと、嶺岡林道にぶつかる。白滝坂本林道は嶺岡林道にあるハングライダー場のちょうど正面にでてくる道で、ここに林道名を示す掲示板が設けられている。ひと組のハングライダーが赤いセールを畳んでおり、帰り支度をしているようだった。このハングライダー場は鴨川の街などが一望できる嶺岡林道の絶景ポイントとされている。
ここまでくると、鴨川まではあと一息。別荘が点在し、どんどん速度の上がる同林道下り坂を下って行くのみである。バイパスに商業区域が移ってしまったために寂れた感のある鴨川旧市街を抜けて海岸線をなぞる国道128で誕生寺から県道82に。82はちょっとしたワインディング路だが、当日は前にクルマが詰まってしまうし、対向車も多いし、で楽しみはお預けであった。82から同177へと舵を切る。花生CC(ゴルフ場)先で平沢ダムに向かうために東に折れた。同ダムまでの道は典型的なカントリーロードでゆるやかな斜面を登ったり、降りたりしながらの道。交通量はほとんどなく快適にダム湖右岸を走る。1998年に完成したアース式の同ダムは灌漑用水目的で全長159㍍の堤頂分は車輌通行可能である。
同ダムから国道297に入り、三叉で右折、同465に乗り入れ、いすみ鉄道沿線沿いを走りながら東総元に向かう。東総元小学校が見えるゆるい右カーブに沿う沿線には河津桜の小規模な並木があり、開花終盤となりはしたものの、淡いピンクの花を咲かせていた。ここは鉄分の濃いカメラ愛好家にとって桜のなかを走る列車をファインダーに捉えられる絶好のロケーションとされるが、当日はひとりしかいなかった。
再び465に戻り、市町村道を流しながら県道172、同81、国道409とたどり、当日の最後の目的地、袖ヶ浦フォレストレースウエイに到着。ちょうどスポーツ走行の時間帯。ロードスター、ナローポルシェ、プジョー、86、ロータスエリーゼなどが走行中だったが、なかでもTypeRと覚しきインテグラが快調なテンポで周回を重ねており、その後をZが追いかけている格好だったが、技量の差があるらしく排気量が大きいにもかかわらず、Zはインテグラに追いつけず、むしろ少しづつ引き離されいる状態だった。60年代の名車ロータスエランがピットに張り付いたままで走行する姿を見られなかったのが残念であった。レースウエイを後にして14時30分頃木更津東ICから帰路についた。
■全行程(GPS):約395kmkm/最高高度(GPS):約299m
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