2016年5月9日

新緑萌える山梨の林道群

 新緑を満喫しようと山梨県下の林道を中心に山道を走り回った。黒野田、川上牧丘、水ヶ森、蕪入沢上芦川、西川新倉ーの林道群で、期待に違わず山は新緑の緑に染まっていた。走行日5月2日、使用車輌Lutecia。

Lutecia

 最初に向かったのは陣馬街道(都道521)の和田峠(標高700㍍)である。山梨の林道に向かう途中にある林道もどきの山道ということで加えた。八王子ICで中央道降車。甲府方面に国道20を走り、追分交差点で同街道に入るという標準的な入線方法をとった。夕やけ小やけの里を過ぎると、同街道は人家がまばら。恩方第二小近くの落合橋を渡ると、ほぼ1車線となり、進んでいくにつれ登り角ががきつくなる。日の出時間を過ぎているものの、曇り空に加え、森の中を通っていることもあって、周囲は薄暗く、眺望はない。和田峠手前からは完全な1車線の鋭角コーナーの続くワインディング路とかす。東京近郊ではよく知られた対向車には絶対に出会いたくない最狭道区間である。和田峠到着。気温11度(東京3時20分出発時14度)。GW中の平日だが、陣馬山への登山客の車が峠の茶屋の駐車場に止まっていると予想していたが、一台も駐車していなかった。むろん茶屋は開店時間前である。

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和田峠

 和田峠からの521は下りとなるが、登りとはうって変わって視界が開け、新緑のなか開放的な雰囲気のなかを降りていく。自然公園センター前だったか、薄紫の花をたわわに付けた藤の木に目がいく。521は国道20に接続する上野原工業団地前交差点までの間、ずっとくねくねとした道が続く。

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 次が目当てのひとつ、黒野田林道。同20で初狩から山梨県道712,705を経て同林道に入るのが普通の経路だろうが、同20の鶴川で旧甲州街道(同県道30)を伝い、鳥沢で20に出る多少遠回りなルートを選択した。まんま往時通りというわけにはいかないが、江戸時代には江戸と甲府を結ぶ基幹道だった旧甲州街道。この道、道路地図でみるよりも、緩やかながら折れ曲がりアップダウンもある、なかなかに走っておもしろい。新緑とところどころ咲いている藤の花を見ながら想定よりも速いペースで抜けられるのだ。なによりも沿道に民家が少なく、よって信号も少ない。途中、展望台がしつらえてあり、そこからは中央道・談合坂の下り車線PAと中央道を走る車輌を俯瞰できる。帰路の中央道上り車線で、この展望台を確認。

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 黒野田林道は総延長14・5㌔で、都留市大字大幡(終点)と大月市笹子町大字奥野(起点)を結んでおり、笹子トンネル手前で20に出られる。この林道は路面フラットで対向車とのすれ違いにも問題ない幅員を持ち、片側は開けているため日差しがさし、陽光に恵まれた軽快路である。木々の緑が目に鮮やかに飛び込んでくるなかを走った。一箇所、展望台が設けられている。当日は雪をかぶった富士山が眺められた。富士を眺望するための展望台というわけである。ここまでは快調だったのだが、この先から路面は荒れ出した。法面から転げ落ちたコブシ大よりも大きいサイズの岩石や強風にあおられ折れたのだろう枝が路面に散乱している状態となり、これらをよけながらのドライブを強いられた。道路幅ほどもある枝が道をふさいでいる場面に出くわた。クルマを降りて片付ける手間も。4年前の冬に一度同林道を訪れているのだが、このときはこういう障害物はなかったのに。林道は季節によって、また雨後などで路面の表情を変えるので、こういうこともあるのだろうというしかない。

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 同林道走行後、20に戻り、勝沼でフルーツライン東山フルーツラインを経て県道206焼山峠(1530㍍)に向かった。同県道を道なり進んでいけば川上牧丘林道に直結し、同峠まで登っていける。同林道の総延長は22・2㌔となっているが、焼山峠から荒川林道(11㌔)を経て水ケ森林道に向かったので、両林道とも全距離を走破してはいない。焼山峠までの同林道にはタイトコーナーと急勾配からなるつづら折れ区間がある。勾配14%とあって、1stギアまで落とす。エンジンは唸りを上げる。同林道の幅員は3・6~5㍍だが、この区間は4㍍以下だろう。対向車の有無を確認し、前からこないとわかれば、アウト・イン・アウトのラインをとるものの、幅員の関係で、大回りするには限界があり、速度はあがらない。芽吹きだした木立の間から次に登坂する道路のガードレールが目上正面に見える。焼山峠はロータリー状となっており、駐車スペースと周辺の林道や山を記した大きな案内看板が備えられている。左手にゲート付きの荒川林道への入り口が待ち構えている。

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 山梨県下の林道の多くは4月25日に冬季閉鎖を解除され、荒川林道のゲートも開けられている。同林道は塩山から清里までをほとんど林道でつないだクリスタルラインのひとつだが、わずか走った程度で水ヶ森林道との分岐点にさしかかる。同林道は今回走行した中で最も総延長の長い22㌔の山岳路である。同林道の高標高部区間ではまだ芽吹きだしているとはいえず、葉のない木立の間から陽光が差し込んで周囲が黄金に輝いて見えた。また、同林道は山の稜線に沿っていることで、景観は開けており、朝のすがすがしさを感じる。

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 路面はフラットで路肩の枯葉堆積部もほとんどなく、走りやすい。同林道の幅員は4㍍だが、待避スペースが多く設置され、離合しやすそう。標高が下がるにつれ、木々が芽吹き、さらに下がると新緑となった。冬、早春、春と季節の変化を知ることのできる林道である。同林道は太良ケ峠(1120㍍)で県道31に合流して終わる。同峠からは甲府市街が見渡せるそうだが、当日は谷間にガスが濃くたちこめ、見えず。

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 甲府方面に向けて31、国道358県道36と乗り継いで、上芦川で御坂の国道137にでられる蕪入沢上芦川林道に入る。同林道は笛吹市営(6㌔)と県営(10㌔)とに管轄する行政が分かれている。36から入線すると、市営、県営と走り継いでいくことになるが、市営区間は路面状態が悪い。コンクリート鋪装だが、いたるところひび割れし、うねりとなってクルマを跳ね上げ、ドスンと落ちるーというサイクルを繰り返す。同林道沿いにはスズランの原生地があり、観光名所となっているようで、スズランの花をイメージした街路灯が立てられている。また、汚れて終わりを迎えているものの、白いコブシの花がまだ咲いていた。富士山を望む絶景ポイントとされる新道峠との分岐点あたりからようやく路面状態が改善し、アスファルトに変わった。まだ市営分で日向坂峠からが県の管轄である。アスファルト路になってからは、曲がりやすいコーナーが多くハンドリングを楽しめるようになった。なにしろ幅員は広い。対向車がきても楽にすれ違いできる。また平坦路でもある。同林道後半区間で路面に落石が目立つようになり、ペースダウンせざるを得なくなったが、黒野田ほど酷くはない。ただ、後半区間では、道路を横切る側溝の段差が少し目につく。段差は一般に道路面よりもへこんでいるのだが、一箇所、突き出ているものがあり、乗り越える際に速度を調節しないと、強い衝撃を受け、サスを傷めるかもしれない。

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 同林道を走りきり、137にでて御坂旧道(県道708)を経て富士吉田に抜けられる、当日最後の走行林道である西川新倉(10㌔)に向かう。新御坂トンネルができて、あえて旧道を走ろうという車輌は少ない。しかし、御坂峠(1300㍍)の天下茶屋前の道路はバイクやクルマが所狭しと駐車しており、茶屋は結構繁盛しているやに見受けられた。沿道脇には1000メートルを超える高地だけにまだ桜の花が残っていた。茶屋を過ぎてから同林道に入る分岐がある。同林道は三ツ峠山(1785㍍)の登山者が利用する道路でもあり、登山者用の駐車場はほぼ満車のようであった。登山者が同林道を使う時間帯ではなかったが、観光道の趣きもするために対向車があるかもしれず流して走行。

Lutecia

 この林道、パナソニックのカーナビでは入り口側と終点側それぞれ道路表示するものの、その以外は表示されない。ひとつ前の蕪入沢上芦川はすべて表示されるのに、なぜ、ここが未表示なのか・・・また、この林道はガードレールが欠落している区間やブラインドコーナーにもかかわらず、カーブミラーを備えていない区間があったりして気が抜けないところもある。河口湖の東側を通る同林道では河口湖を望めるビューポイントも複数存在し、当日、湖面がくっきりとみえた。同林度の終盤はすれ違いしにくい狭い道路の住宅街を抜けて137に接続。その間にいくつも道路が分岐し、帰宅後、GPS経路を確認したところ、分岐路のどこかで間違えたようで、同林道を完全走破したとはいえなかった。中央道河口湖ICから帰路に。12時16分、気温は24度まで上昇。GW最中の平日だったがこの時間ゆえ渋滞にはあわなかった。

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■全行程(GPS):約402km/最高高度(GPS):約1,720m
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