スタート地点は関越道・渋川伊香保IC。向かうは赤城山の大沼である。赤城ICから進路をとるのが本来妥当だが、コンビニのありそうな国道17号にでるため渋川伊香保で降りた。17号関東電化工業先の信号を右折、群馬県道353に入った直後にコンビニに到着。6時。気温10度と都内出発時(3時20分)よりも8度も低い。353から同70を経て赤城西麓広域農道に。
同農道はアップダウンがあり、それなりに楽しめる。1979年(昭和54年)に開通した農道で、バブル期に完成した広域農道と比べると、道幅は広くなく、開通後かなり時間を経過していることがわかる。沿線にはりんご園と牧場地などが広がる。二本松で同251に入り、突き当たるT字路を右折すれば、大沼までは一本道である。この道は赤城北面道と呼ばれ、1982年に有料道として開通しただけあって、たっぷりとしたスペースを持つ片側1車線づつの登り高速ワインディング路である。コーナーのナンバリングは56と記憶するが、ヘアピンにはR30などとコーナー回転半径が表示されている。先のT字路から大沼までは高度にして約700㍍登っていくことになる。高度を増すにつれ、常緑樹の間にまだら模様で冬から春に衣替えした落葉樹の新緑は消え失せた。代わりに葉を落とした冬枯れのままの樹木が続く寒々とした景観に変わった。
大沼と朱色に塗られた赤城神社に到着。気温7度。都心なら真冬日である。当日の午前中は関越道で降雨に見舞われるなど天候に恵まれず、大沼では雨こそ降っていないものの、どんよりとした曇り空を映して湖面は暗く、風の影響でさざ波が立っていた。6時台という早朝にもかかわらず、湖畔の駐車場には数台が止まり、社外でウオーミングアップ中の乗員の服装からすると、登山者のようである。
大沼を後にして次の目的地足尾に向けて県道16を下っていく。小沼を過ぎると、道幅が1・5車線程度まで狭くなり、急坂のタイトコーナーも頻発する。この道は赤城裏ルートと称されているようで、赤城北面道の倍近いコーナー数があり、その名に恥じぬ険道である。しかし、道の歴史は古く、1920年には南麓の赤城神社までを県道指定。1959年には同神社以北がルート開拓され、今日まで大沼に向かう道路として存在している。だが、いかんせん狭道ゆえに大型車は通行できない。そこで観光道路として、この西側に1966年に建設されたのが赤城南面道、別名赤城白樺ライン(県道4号、当初有料道、95年無料化)である。これが赤城表ルートにあたる。赤城南面道については開通式の模様をYoutubeの「群馬ニュース」で見ることができる。また、「トヨタの86峠セレクション」でも採り上げられ、北面道よりもタイトコーナーが少なく、一般行楽客向けである。
16から国道353,交通量が少ない栃木県道336,同335のローカルロードを伝い、本宿で渡良瀬川に沿う国道122を経て、神戸駅(わたらせ渓谷鉄道)に。336と335の交点には「梨木館」という旅館があり、露天風呂付きのルームが6つ用意されている。山の中なので周囲にはなにもないけれど・・・
神戸駅のソメイヨシノとハナモモの花は既に散っていたが、構内の大きな1本の八重桜と2本の辛子色のツツジは満開であった。しかし、ここの春の見所はなんといってもハナモモとソメイヨシノの競演であり、それを見ようと観光客が大挙押し寄せるのだが、当日はとっくにこの時季を過ぎてしまい木造駅舎周辺は喧噪から解き放たれ、いつもの静粛さを取り戻していた。神戸からは草木湖東岸を通る県道343を通り、沢入駅に向かう。途中、草木ダム直下の公園に寄ってみたが、ここの桜は完全に葉桜で、ひとっこひとりいなかった。しかし、沢入駅には終わりを迎えた桜がまだ花を付けていたが、風にあおられて吹雪のように激しく花を散らしていた。
沢入から国道122に復帰、県道293、舟石林道、県道250とたどり閒藤に向かう。293沿いの銀山平公園では10本を越えるしだれ桜が咲き誇っていた。むろん花は終盤で花弁が風に乗って地上に舞い落ちているが・・鮮やかな光景であった。同公園を過ぎると道幅が狭まり山岳林道ふうに変化する。くねくねと曲がりくねった林道を上っていく。舟石峠の駐車場には10台近い車が止められていた。備前楯山への登山口になっているためであるが、これから先の林道はいつものように貸切状態の空きようであった。新緑の緑がまぶしい。本山坑前のストレートを駆け下りていけば閒藤で、ここから銅親水公園に向かう。しかし、当日、植樹デーにあたり同公園のパーキングはその関係者の車輌で満杯のうえ、道路には植樹ボランティアが群れをなして歩いてさえいる。同公園内レストランで休憩するのを諦め、古河掛水館に隣接している民芸風食堂で休息。
足尾からは帰路である。県道15、同58で古峰神社に。15の粕尾峠までのワインディング路は相変わらず荒れた路面のまま。周囲の木々は芽吹きだしているものの、冬と春の中間状況。同峠から58に入るや乳白色のカーテンが降りたような霧。だんだん霧が濃くなり、路肩にひかれた白線を頼りに走る。
黒の対向車がこちらに寄ってくるように走っているのに、いささか驚く。古峰神社までには霧ははれ、同神社正面から分岐する前日光林道に入った。センターラインのある完璧2車線ダウンヒルで、林道とはおもえないほどの快適さで走る切る。道林道から県道246に接続。246も空いたローカル県道だが、沿道沿いに桜が咲いていたり、葉が新緑色になったモミジの木が多かったりして楽しめるドライブ道である。
246の出口という字から西側を通る県道15の遠木に抜けられる羽遠林道(全長8・4㌔)に入り込んでみた。出口、遠木側とも林道標識が設けられているが、遠木側の入り口は見つけにくいかもしれない。同林道は基本的に1車線幅だが、鋪装されている。
林道らしく道路中央部や路肩部には枯れたスギの葉が堆積しているが、走りにくいことはない。一箇所、流された法面の湿った土砂が路面にうずたかく積もっているところをうまく乗り越えさえすれば、である。同林道は林間を縫っていて、眺望は開けないものの、瞬間的に246と集落が見えるところがある。同林道を往復し、15、32と伝い、栃木ICで東北道に乗り入れて今回の走行を完了。14時25分。気温は20度を超えていた。
■全行程(GPS):約454km/最高高度(GPS):約1,505m
■フォトギャラリーはこちらです。