2016年8月17日

盛夏の秋山郷、秋告げるススキとトンボも

 長野県最北部、秘境とされる秋山郷を訪れた。かつて奥志賀スーパー林道と呼ばれた長野県道502をたどりつつ。盛夏だけに緑濃い山岳路のだが、観光誘致を狙っただけに林道を前身にするとはいえ予想よりもはるかに走りやすかった。

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 関越道、上信越道と乗り継ぎ豊田飯山IC国道117に降りた。もともとは志賀高原を経由するルートを想定していたものの、長野県道502(奥志賀公園栄線)の奥志賀から秋山林道までのA区間で土砂崩れがあり、抜けられず、このルートを断念。やむをえず国道117をたどって秋山郷まで南下するルートに変更した。都内を出発したのが、まだ夜が明けぬ午前2時30分。気温28度。豊田飯山ICに到着したのは夜明け1時間過ぎの5時50分。同23度。この日は秋山郷でも23度を示し、当日の最低気温であった。117は千曲川に沿うかたちで通っているが、道路脇に民家がみられない。千曲川対岸のJR飯山線に沿って民家があることを遠望し、この117はバイパス道とみた。

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 そこで野沢温泉村の南に位置する市川橋を渡って国道403と供用区間のある飯山線沿いの県道408を選択。道幅が狭くなり明らかに117の旧道らしい田舎然とした道に変わった。途中、西大滝駅に寄ってみたが、駅舎が今風に建て直されており、ローカル線の古駅をしのばせるような古色蒼然たる雰囲気はまったくもってない。408は道なりで117に合流する。

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 117には平滝の横倉トンネル入り口手前で右下に折れ下がっていく分岐点がある。ここを右折し県道407、即秋山郷方面の502へと乗り入れた。502は奥志賀スーパー林道と呼ばれた山岳路で平成7年に県道に昇格し、有料から無料に転じた。横倉から野沢温泉に向かうT字路まではC区間にあたり約16㌔ばかりある。対向車とすれ違いできる幅員はあるのだが、C区間は夏のこととて雑草が道に盛大にせり出しており、1車線幅員のようになっていた。T字路から秋山林道(雑魚側林道ともいう)入り口までのB区間(約33㌔)はしっかり雑草が刈られているのとは好対照のC区間は放置状態。わざわざC区間を経ずとも新潟県津南町で117から分かれる国道405経由で秋山郷に向かうのが本来の正統なルートだろう。

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 したがって、C区間を利用するケースはひじょうに少なく実際、一台の車とも遭遇しなかった。ならば草刈りは省略してもよかろうと行政は考えているようである。C区間は横倉の標高300㍍弱からT字路の同1000㍍弱まで登っていくのだが、徐々に標高を上げていくために険しいワインディングロードという印象はない。また、とくに景観にも恵まれてはおらず、終盤の水尾山(1044㍍)を回り込むあたりで眺望が開ける程度である。道脇に背丈の伸びたススキが赤く出穂し、トンボが舞っていて、山は秋の気配を強く漂わせていた。

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 T字路を右折し、いったん野沢温泉スキー場の日影ゴンドラ駅まで降りてみた。いくつもの緑の草の生い茂る夏の無人のゲレンデを望みながら下っていく、この道は眺望に優れるうえ、タイトコーナーがあり、ワインディング性にも富んでいる。ただ、当日は、軽トラや2㌧キャブオーバートラックが作業するために数台登ってきた。午前8時ちょっと前、この時間に一般車を見かける時間帯ではないせいか、対向車はこないと一方的に考えているらしく、彼らが道の真ん中を結構な速度でカッ飛ばしてくるのには危なくて閉口した。

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 さて、T字路まで戻りB区間に入った。この区間、毛無山(1650㍍)までの数㌔はスキー場内を走るようで、頭上を抜けるスキーリフト索道などと広いゲレンデが見渡せる。B区間は1000~1500㍍級の高地を巡る山岳道路だが、くねくねしているものの、フラットな感じで高度を稼いでいることで、険しい感じはしない。むしろ少し変化に乏しい感じさえを受けた。カヤノ平への分岐を過ぎれば、まもなく秋山郷に向かう秋山林道(9・4㌔)とA区間(約13㌔)との分岐点にさしかかる。分岐点には秋山郷への行き先を示す道路標識が立っているが、この標識、かつて有料道だった頃「この先料金所、お金の用意を」と書かれたのを青く塗りつぶし秋山郷という白文字を書き入れていることがわかる。県道502が有料道だったことを知る名残である。土砂崩れにともない、このA区間が通行止めとなり、分岐点にもその旨、表示板が置かれていた。

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 秋山林道は分岐点からはずっと下りである。400㍍ばかり降りた800㍍半ばに秋山郷の最終地点であ谷奥にある切明までいく。同林道は雑魚川に沿っているものの、川を目視しにくい。林道とはいっても幅員ほぼ2車線道で、小刻みに現れるコーナーを次々にクリアして緑の森の中をどんどん降りていく。電柱だけでなく林道終盤までガードレールは設けられていないところが、すっきりしていていい。赤い道路橋がみえてくると、終点の切明だ。午前10時。切明は津南町で信濃川と分岐し流れてくる中津川と林道沿いの雑魚川が合わさって、野反湖側から流れてくる中津川との合流点でもある。道路橋からは東電の切明発電所の建物や石ころだらけの河原とその間を勢いよく流れる清流がみえる。周囲を見渡しても山また山に囲まれ秘境といわれれば、かつてはそうなんだろうと思えるロケーションである。橋の近辺には2軒のこぎれいな旅館が立地する。

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 切明に到着したところで今回のドライブは事実上終了した。横倉から走行してきたが、切明までの区間で一般の対向車に出会ったのは、カヤノ平分岐点でのホンダ・インサイト一台のみであった。通行止めの影響なのか、曜日なのか、時間帯なのかわからないが、とにかく交通量超極少のルートであった。

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 帰路は中津川をはさんで国道405の対岸(左岸)を通る、たぶん市町村道を選んだ。屋敷、結東、横根、妙法育成牧場を経て新潟県道251国道117同353同17とたどった。251にでるまでの市町村道とおもわれる道は林道ぽい雰囲気のある、なかなかに走りでのある山道であった。

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 17では苗場のプリンススキー場に寄ったが、中国系と覚しき観光客が訪れていた。また、空いていた17では三国峠を越えたが、家族を乗せたワンボックスとタンクローリーの遅速車の後をノロノロ走りざるをえず、ワインディングはできず。月夜野ICから関越道に入線し渋滞なく帰京。目白通り谷原交差点近くで車載温度計は38度を突破。この日、東京には高温注意報が発令されていた。


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■全行程(GPS):約652km/最高高度(GPS):約1,565m
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