2017年1月23日

気儘な羅針盤.5th ミラーレス

 ミラーレス、そう聞いて真っ先に頭に浮かぶのはデジイチですよね。クルマと同じように電子武装され、高機能と使いやすさを手に入れマーケットを大きく拡大した。さて、今回の羅針盤はそっちのミラーレスぢゃなくクルマのミラーレス。


 ひとつのカテゴリーを創ったミラーレスカメラですが、スマホやコンデジはミラーレスとは呼ばない。なぜならSingle-lens reflex cameraの日本語が「一眼レフカメラ」、そのreflexをなくした「一眼レフ」をミラーレスと呼ぶから。

 もとい!
 2016年6月、日本と欧州で電子ミラーが解禁された。保安部品であるルームミラーやドアミラー、鏡一辺倒からカメラとディスプレイを使う映像も可能となった。これがクルマのミラーレス化。またひとつ電子武装範囲が拡大されたことになる。

 最大のメリットはなんと言ってもヒカリの法則を超え死角をなくすことが可能になることでしょう。思い浮かべてください定員乗車した際のバックミラー、映るのは後席の乗員ばかりで肝心の後方確認できない。クルマの後方に設置したカメラ映像なら後席の乗員が映り込むこともない。雨降りや降雪時もその影響を画像処理で取り除くこともできるだろう。コロンブスの卵的発想だけど、電子化されたドアミラーとコラボすればアラウンドビューモニター化も可能だろう。また、FMCたびに拡大する車両全幅、その実効全幅を縮小することにもつながる。法規定されたサイドミラー、これがなくなればクルマ全体のデザイン自由度も上がり空気抵抗や風切り音の低減にも役立つことだろう。ワインディング親爺的には見慣れぬのっぺりしたデザインの方が気になるのですが(笑)




 ぢゃぁ、デメリットは…
 まっさきに浮かぶのはコストアップでしょう。鏡と言う単純明快なソリューションに比べカメラ映像にそれなりの後処理を施し映像化する高度なシステム。フルグラフィックスのメーターパネル同様、まずは高価格車から採用されることになるのだろう。気になるのは耐久性、歴史の浅い液晶モニタやCMOSカメラ、ほぼ半永久的に使用できる鏡と比べるとチョッと気になるよね。それと、低温時のレスポンスや発色。朝イチの極寒地、ナビの表示品質悪化を知っているとチョッと心許ない。


 最後はワインディング親爺の最も気になる「見え」。便利で高機能なミラーレス・イチガンですが光学ファインダ機を駆逐できない。それは暗所や逆光など光学的に厳しい環境ぢゃ対応できないから。また、表示遅延の避けられない電子デバイスでは1/1000秒を仕留めるスポーツぢゃシャッターチャンスを逃してしまう。SLRのファインダと暮らしたことのある人ならミラーレス機の限界をわかっていただけるでしょう。技術革新著しい電子デバイスゆえワインディング親爺の思い過ごしならいいんだけど。

 いつの日か、フロントガラス全面がディスプレイとなり走行情報やエンタメ情報まで、VRのように素早くリーチできるようになるのかも知れない。ワインディング親爺的にはブラインドコーナー奥の対向車や路面状況がわかったりしたらうれしいなぁ。対向車の有無だけならコネクテッドカーで実現できるかもしれないね。

 欠点も認め生活を共にしてきたアナログデバイス達、その生息場所が日毎に圧迫されつつある。自動ブレーキや自動運転実現にはデジタル制御が最低条件。それは善し悪しぢゃなく時代の流れ、今あるアナログデバイス達の感性に応えるフィールを忘れないよう大切にしたいと思います。